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憂慮⑨

やっと泣き止んだ真澄を横抱きにして、みんなが待つであろうリビングに連れて行く。硝子戸越しに明かりが漏れているから、まだ起きているんだろう。 下に降ろそうとしても真澄は俺にしがみ付いて離れなかった。 案の定、怒り心頭の潤と継、神妙な顔の嫁達が座っていた。 「みんな、俺の早とちりと勘違いで迷惑をかけて本当に申し訳なかった。 右京君、詩音君。心配させてすまなかった。」 ぺこりと頭を下げると、潤が 「こんのアホ親父っ!みんながどれだけ心配したと思って」 「潤!お義父さんだって反省されてるんだし、何もなかったんだからもういいじゃないか!」 「みんなを振り回すだけ振り回しやがって…ちゃんと謝罪しろよっ!」 「継っ!そんな言い方しないで…ね?」 潤と継が次々とまくし立てるのをそれぞれの伴侶が宥めすかしている。俺はひたすら頭を下げ黙って聞いていた。 するとそれまで黙ってくっ付いていた真澄が、俺から離れてするりと降りた。 そしてみんなの前で正座すると手の平をべったりと床に付けて頭を下げた。 「パパの勘違いでみんなに心配掛けてごめんなさい。 さっき思いっ切り殴ったから、それで許してほしい。本当にごめんなさい。 …でも、でも…勘違いで本当に…良かった…」 そう言って、そのまま床に突っ伏してまた泣き始めた。 「真澄…」 思わず駆け寄り、震える肩を抱きしめた。 「あーあー…親父、これ以上お袋を泣かせるなよ。ちゃんとフォローしろよな。 はい、この件は終了。俺は明日早いから寝るよ。 右京、行くよ。お休みー!」 「お休みなさい」と言い残し、右京君がパタパタと潤の後を追う。 「さぁ、俺達も寝るか。詩音、行くよ。お休み!」 継に手を引かれて詩音君も行ってしまった。

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