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思い合う夜 side:右京⑥
後孔は、潤の手淫で蕩けきって芳香を振り撒きながら、くぱくぱと開閉を繰り返している。
潤はそこに顔を近付けると、犬のようにくんくんと匂いを嗅いだ。
「右京…すっげぇいい匂い…甘くって、優しくって、エッチな匂いがする。」
がっしりと足を固定され、襞をぺろぺろと舐められたる。逃げようにも動けない。
指じゃない、何かが入ってくる異物感がある。え…舌!?
普段なら恥ずかしくて、できるだけ避けてきた行為。
でも、今日はそれを許してしまう。
拒否しない俺に気を良くした潤は、まるで生き物のように舌先を使い、俺を昂ぶらせていく。
ぐずぐずに溶かされて、この先にある快楽を求める心が勝った。ダメ、もう我慢できない。
「潤…ちゃんと“潤”を頂戴…俺の中に…早く、きて…」
潤の動きが止まった。
ハスキーボイスが遠慮がちに尋ねてくる。
「右京、避妊…しなくてもいいのか?」
「香川先生が…もう大丈夫だよ、って…んむっ」
さっきまで俺の後孔を舐めていた潤の舌が口内に捻じ込まれた。
“汚い”とか“気持ち悪い”とか思う暇もなく、歯列をなぞられ、弱い上顎を官能的な動きで刺激され、飲みきれない唾液が口の端から零れ落ちる。
それを啜り上げ、口内を蹂躙してくる潤は、硬くなった楔を擦り付けてくる。
どちらのものとは分からない愛蜜が下生えに絡み付いて、ぬちゅりぐちゅりといやらしい音を響かせる。
「潤…んんっ、んむっ…ん…んっ」
頭がぼぉーっとしてきて、生まれ落ちる快楽を拾うことだけを考えていた。
いつもより、潤自身が大きいような気がする。
それだけ俺のことを思ってくれているという証拠なのだろう。純粋にうれしい。
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