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エピローグ①
side:詩音
大騒動がひと段落して、またいつもの日々が戻ってきた。
変わったことと言えば…お義父さんもお義兄さんも、そして継も…『健診』と『検診』をしっかりと受けるようになった。
予防と早期発見、これで少しは安心できる。
勿論、俺達も。
それと、お義母さんも右京さんも俺も、今まで以上に家族皆の食事や体調管理に気を配るようになった。
“〇〇には△△が効く!”なんてテレビの特集があると、集まってワイワイ言いながらそれを見てる。
そして翌日にはその食材が食卓に並んでいるのだ。
何だか家中が健康オタクになってるみたい。
それでもお義母さんは『余りそればかり考えても、プレッシャーになるから』と楽しんでできるように誘導してくれる。
そのお陰か、料理の腕も上がり、レパートリーもドンドン増えている。
少し重くなってきたお腹を庇って痛みが出始めた腰を摩っていると、仁がやってきてお腹に話掛ける。
「まぁま、いたい?
ちびた、いいこいいこしてね!」
そう、お腹の中の子は男の子らしい。
香川先生曰く、ちゃんと立派についているのだそうだ。
だから仁は『ちび太』と名付けて、お兄ちゃんぶってお腹によく話し掛けてくれている。
「仁がお腹の中にいる時はね『ちびちゃん』って呼んでたんだよ。」
「うん!」
にぱぁ、っと笑う仁を抱き寄せ、明日から通う保育園の準備を始めた。
幸い、優君が行っている保育園に空きが出たとの情報もあり、俺の出産準備に合わせて、仁も保育園デビューすることになったのだ。
先日、仁は…お試しで行ったところ、楽しくって仕方がなかったのか帰るのを嫌がり、連れて帰るのに往生した。
普段お義母さんと俺と時々お義父さんと、大人の中で生活しているから、同じ年令の大勢の子供達との触れ合いは刺激になったのだろう。
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