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エピローグ④

「まぁま、あっち、いこ!」 ねっとりと絡み付く匂いと視線をばっさりと断ち切り、仁に手を引かれて継を置き去りにした。 あぁ…きっと後で拗ねるんだろうな… 「お義兄さん、お帰りなさい。お風呂お先にすみません。」 「ただいまー!いいよ、いいよ。 仁君、明日から優をよろしくね。」 「あいっ!」 「親父達いないんだよな。右京、継が出たら俺が優と入るから。」 明日のことがあるからなのか、お義兄さんはご機嫌で、ワクワク感満載の匂いがしてくる。 思わず右京さんの方を見ると『仕方ないよね』といった感の匂い… 二人で肩をすくめクスクス笑っていると、継がやってきた。 「おっ、兄貴早いじゃん、お帰り。 風呂お先。」 「うん、ただいま。親父達出掛けちゃったんだな、“恒例”のデートに。 相変わらずのラブラブっぷりで、こっちは当てられてばかりだよ。」 「いいんじゃないの?家内安全、無病息災、万歳じゃん!」 継は、はしゃぐ優君とハイタッチしている。 そこに仁も混ざって、大騒ぎだ。 「ほらほら、旦那様達、早く入ってきてよ。 お腹空いたし、先に食べちゃうよ。」 「そりゃ大変だ!優、行くぞー!」 右京さんがため息をつきながら 「今からあのテンションだよ…明日が思いやられる…」 なんて言いながらも、右京さん、あなたからもラブラブな匂いがしてるんですけど。 ふふっ、と笑っていると継に巻き付かれた。 「うわあっ!…継…吃驚するじゃないですか…」 「だって…かわいい顔して笑ってる詩音が悪い。」 「えっ…俺のせいなの?」 あたふたしていると、仁がべったりと纏わり付いてきた。 「まぁま!だっこー!」 すかさず継が 「まぁまはパパのものだからな。 代わりにパパが抱っこしてやろう。 それぇーーっ!!」 きゃあーーーっ! あははっ!

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