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エピローグ⑥
そう言うと、右京さんはふわりと微笑んで
「うん!俺もそう思う。
優もこの子も、仁君やちび太君も、まめちゃんが守ってくれるって。
明日ね、潤とお墓参りに行って来るんだ。
お礼とお願いをね、しようと思ってる。」
「ままぁー!おなかすいたー!」
「まぁま!だっこー!」
いきなり小さな塊が足元にアタックしてきた。
「うわあっ!」
ぐらついて転びそうになり、慌てて飛び込んできた継に抱きとめられた。
はあっ…セーフだ…
「こらっ、仁!まぁまに飛び付いたらダメっ!
ちび太が吃驚するだろっ!」
突然落ちた爆弾に仁が泣き始めた。
「継、俺大丈夫だから。
仁、泣かないの。でも、急に飛び付くのはダメだよ。」
泣きながらもこくこくと頷く仁を抱きしめる。
仁が俺のお腹を摩っていた。
「ちび太、めんね 。」
優しい子に育っている。
それが感じられてうれしくなった。
『ありがとう』と『ごめんなさい』が言える子になるようにと、仁が理解できるかどうか分からなくてもそれだけは伝えてきた。
大家族の中で優しさと思いやりと逞しさを身に付けて、まめちゃんにも守られながら成長している。
まめちゃん、ありがとう。
右京さんの新しい命も守ってあげてね。
継が仁の頭をぽんぽんと撫でた。
顔を上げた仁を俺から離して、真っ直ぐ正面から顔を合わせた。
「まぁまが少しでも転んだりお腹を打つけると、まぁまもちび太も命が危ないんだ。
仁は分かるよな?」
仁は継の目をしっかりと見ていたが、ぺこりと頭を下げて言った、
「あいっ!めんなしゃい !」
継は仁を抱きしめると
「いい子だ。まぁまもちび太もちゃんと守ってやるんだぞ。」
心がふんわりと温められ、俺はそんな二人の姿をいつまでも眺めていた。
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