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エピローグ⑦

泣き疲れた仁を寝かしつけて、継が待つベッドへと身体を滑り込ませる。 「怒鳴ってごめん。でも、どんなに小さくてもダメなことはダメだと教えなくちゃならないから。」 「分かってます。それに、仁も。 ちゃんとあの子なりに理解して受け止めてくれてますよ。」 俺の髪の毛を撫でる継の胸にそっと寄り添う。 その肩を優しく引き寄せた継の唇が顔中に落ちてくる。 「これからも素直に『ごめんなさい』を言える子になりますように…」 そんな俺の呟きを聞いた継が、ふっ、と笑うのが分かった。 「俺達が育てるんだ。 そうなるに決まってるだろ。 勿論、これから生まれてくる子も。 詩音、どんなことがあっても話し合って、楽しくって笑いの絶えない家庭にしような。」 甘くて濃いフェロモンに包まれる。 「はい!継、ずっと…愛して下さいね…」 「詩音…だから、煽るなって…」 継からは絶え間なく俺を求めて誘う匂いがしてくる。 そう言えば…少しだったかも… 香川先生も『大丈夫』って言ってたし… 少し首を伸ばして、継の鎖骨の辺りにちゅっ、とキスをした。 「しっ、詩音!?」 慌てたような継に、そっとささやく。 「…手加減お願いしますね…」 「もう、詩音…愛してるよ!」 俺のお腹を庇いながらも、ウキウキワクワク俺の服を脱がせていく継の様子がおかしくて、笑いを堪えるのに大変だった。 でも、その手つきはとても優しくて、俺に負担をかけないようにと配慮してるのが伝わってくる。 自分も我慢できないくらいになっているのに。 「詩音…俺を愛せ。」 それだけで身体の奥からぞわぞわと甘い痺れに支配されていく。 そうして今宵もまた、蕩けそうな声音と匂いに酔いしれたのだった。

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