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出会い③

息も絶え絶えの俺に気付いたのか 「あっ…すまない…ここじゃダメだ…」 そう呟くと、俺を横抱きにしてエレベーターへと走って行った。 何が起こってるのか何処へ連れて行かれるのか、ぼんやりした頭では理解できない。 むせ返るようなお互いの匂いが愛おしくて堪らない。俺は無意識にその胸に擦り付いていた。 下半身はじくじくと疼き、激しい動悸と荒い呼吸はますます酷くなる。 セダンの助手席に乗せられ、滑るように走り出した車は間も無く高層マンションに入っていった。 その間に社内の何処かに電話をしていたようだ。 聞こえるのは 「…ああ…そうです。急で悪いんだけど、俺と橋下詩音の休暇を頼みます。 やっと…見つけたんだ。…ええ、そう。 一週間の予定は全てキャンセルで。 …橋下の代わりは…あぁ、そうですね。それは中田君に頼んで調整してもらって下さい。 はい。よろしく頼みます。じゃあ。」 俺の名前を知ってる?『見つけた』って俺を? この(ひと)は一体… 回らない頭でぼんやりと考えているうちにマンションの一室へ抱かれたまま連れて行かれ、ベッドの上にそっと横たえられた。 「…あなたは誰? 俺を…どうするつもりなんですか?」 やっと絞り出した俺の声も身体も震えている。 スーツの上着を投げ捨て、片手でネクタイを緩めた彼からは、身悶えしそうなフェロモンが立ち昇った。

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