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希少価値②

スーパーΩとはいえ、普通のΩよりヒートと呼ばれる発情期も遅く、αのフェロモンにも殆ど反応しなかった。 元々そういう体質なのか、αに囲まれた生活だったせいなのか、どれだけの検査を繰り返してもそれはわからなかった。 国から完全に守られた特別なΩの俺は、学校でも家族旅行でも何処へ行くにもSPが付かず離れず付いてきて、邪な考えの奴らは近付くことすらできなかった。 その点では、国の制度は有り難かったと思っている。 ある意味純粋培養的に育ってきた俺は、誰にも欲情することなく、もちろん恋愛すらどういうことかもわからずに青春時代を過ごしてきた。 αの兄姉(きょうだい)は、さっさと『運命の番』とやらを見つけ出してきて結婚している。 「『特別な匂い』と『魂が呼ぶ』のよ。 出会ったその瞬間わかるから、詩音にも必ずそんな人が現れるからね。 絶対幸せになるのよ…」 長身でイケメンのΩの伴侶…昇さんに肩を抱かれた姉は、満面の笑顔でそう言った。 「詩音君。俺は自分のバースをずっと疎んでいた。俺を生んだ両親を呪いさえもした。 でも…綾と出会って人生が180度変わったんだ。 生きててよかった、この人のために生きたいって。 俺も男のΩだけれど、こうやって愛する人に巡り会えた。 だから、君も…」 優しい言葉に目が潤んでくる。 ありがとう と頷いて見せたが… でも、夢は夢。俺は…幸せになれるんだろうか…

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