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回想④
数日後…
全く諦めていたところへ『採用内定書』が郵送されてきた。
採用?
あの答えで?
半信半疑で何度も見返した。間違いない。
よかった…これで誰にも迷惑をかけずに自立して生きていける…
取り急ぎ両親と兄姉にラ◯ンし、教授には直接電話した。
内定を受けた俺は今まで以上に自分のスキルを上げることに専念した。
役に立ちそうな資格は全て取った。
甘い夢は見ないが、これからの人生のためにやれることはやろうと思った。
そんな俺に相変わらずちょっかいを出すαの連中がいて、拉致され強姦紛いのことをされかけたが、すぐに駆けつけたSPのお陰で何とか大事に至らずに済んだ。
国の保護を受けている俺に手出しをしたことで、そいつらは退学。恐らく…表社会には出てはこれない。
連行されパトカーに乗せられる寸前、大声で罵倒された。
「Ωのくせにっ!黙ってヤられてりゃいいんだっ!」
怒りがこみ上げ身体が震える。
ふざけんな。いい加減にしてくれ。
俺が何をしたっていうんだ。
Ωはαのオモチャじゃないんだ。
俺は…俺だって人間なんだ。
苛立ちが募る。
こんなこと…一生付きまとうのか。いつになったら解放されるのか。
何歳まで我慢すればいいのか。
やるせない…どこにも打つけることのできないドス黒い感情が渦巻いて、トイレに駆け込み、迫り上がる胃液を吐き続けた。
嫌だ。もう、こんなの嫌だ。
誰か…誰か俺を助けて…
『大丈夫だ』と優しく強く抱きしめて…
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