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回想⑤

そのことがあってから、必要以上に人の目を気にして外出もできるだけ控えるようになった。 ありがたいことに家族はそんな俺を特別扱いせずに、普段通りに接してくれていた。 「詩音君、コーヒーでもどう?最近オープンしたお店のケーキをいただいたんだ。 正樹、甘い物苦手だから…付き合ってくれない?」 兄貴の嫁の…義弘さんがにこやかに誘ってくれた。 彼も…スーパーΩで、兄貴の同級生だった。 「あ…はい。ありがとうございます。 じゃあ、お言葉に甘えて。」 俺から見ても美しい所作で手早く準備すると、「好きなのどうぞ」と勧めてくれた。 「うわぁ、美味しそう…俺が先でいいんですか?」 「うん!一個ずつ順番に取ろうよ。そうすれば不公平じゃないだろ?」 ふわぁっと花が溢れるように笑う義弘さんは本当に幸せそうだ。 あまりに見つめていたせいか 「どうした?何か聞きたいことでもある?」 「あ…いや、その…義弘さん、幸せそうだなって…」 どぎまぎしながら答えると 「そう見える?」 急に真顔になった。

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