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惹かれ合う番②

先生いるかな…あ、よかった…在室だ… 「香川先生…助けて…」 先生は倒れ込むように入ってきた俺を抱きとめると 「薬は飲んだのか?取り敢えず横になれ。」 俺を軽々と抱き上げると、ベッドへ運んでくれた。 「どうした?まだ発情期には早いはずだが…」 「…さっき、すごい香りが…薬は飲んだんだけど、ここに来る途中も、あちこちに残ってて…」 「ふうん…当てられたか…多分、あっちも同じようになってるはずだな。 橋下君、君の番かも。」 「…えっ?番?俺に?」 「あぁ。遅かれ早かれ出会うはずだよ。 休暇申請してきたんだろ?今、この仕事片付ける間、横になって待ってな。 落ち着いたら送ってやるから。」 香川先生はバース専門の医師でαだが、なぜか耐性ができて自分の番以外には発情しないという特異体質で、俺も入社してから何度もお世話になっていた。 …番?まさか…こんな俺に? でも それが本当なら 兄貴や姉さん、中田部長達みたいに、愛して愛されて…にこやかに笑って過ごせる日々が訪れるのだろうか… そうなると…いい…な… 「お?気が付いたか?送ってくから。立てるか?」 「あ、大丈夫です。ありがとうございます。 先生、俺、自分で帰れますから。」 「遠慮すんな。中田君からも連絡あったから。 『上司命令だ。送ってもらえ』ってな。」 「…ありがとうございます…」 俺はそのまま悶々としながら一週間自宅に引きこもることになった。

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