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もどかしい想い③

焦れったくて我慢できなくて、香川先生にラ◯ンしてしまった。 『お疲れ様です! お忙しいところ申し訳ありません。 お尋ねしたいことがあるのですが、お電話してもいい時間はございますか?』 速攻で電話が掛かってきた。 「どうした?二代目。何かあったか?」 「先生!すみません。俺から掛け直します。 あ、その『二代目』は止めて下さいよぉ。何かヤバい人みたいで。」 「あははっ。いいよ、このままで。で?どうした?」 「すみません…あの…ちょっとお尋ねしたいのですが…先週火曜日の15時頃、医務室に行ったうちの社員を連れてどこかに行かれましたか?」 「んー?先週?火曜日?…あぁ、彼、具合が悪くなったから、落ち着いてから家まで送って行ったよ。 それがどうかした?」 「その人の名前は…」 「営業事務の橋下詩音君だけど…どうして? 何かあったの?」 やっぱり!彼が俺の…. 先生なら言ってもいいよな。 「偶然嗅いだ彼の香りが凄くて俺、反応しちゃって…俺の『運命の番』だと思うんです。 その香りを追いかけて医務室まで辿り着いたんですが、退社した後で…おまけにその日以来匂いもしないし会えなくて。 先生お忙しいのわかってるんですけど、どうにも出来なくって電話してしまいました。 すみません…」 「なんだ…君だったのか。橋下君も抑制剤が効かなくて倒れ込むように医務室に来てさ、多分これは番のフェロモンにやられてる…相手も同じようにフェロモン出しまくりだと思ってたら…そうか、君だったんだね。」 うれしそうな声が電話越しに伝わってくる。

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