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出会い:side 継③

脱力した詩音の様子に慌ててしまった。 「あっ…すまない…ここじゃダメだ…」 ダメだ、こんな所で番う訳にはいかない。 まだ少しでも理性が働くうちに、家に…連れて帰らなければ… 詩音の服を引き千切りそうな衝動を必死で抑え、横抱きにすると一目散に走り出した。 無意識にだろうか、俺の胸に擦り付いてくるかわいい仕草に胸がキュンキュンする。 詩音と接近すればするほどに立ち上るフェロモン。 その匂いにクラクラしながらも歯を食い縛り、助手席に座らせシートベルトを締める。 密室となった車内はお互いの匂いが混ざり合い絡み合い、狂おしいほど俺を煽り立てる。 慌てて窓を開け、外の雑多な空気と入れ替えた。 はぁはぁと荒く息を吐く詩音を横目でチラチラ見ながらアクセルを強く踏みしめる。 「…ああ、…そうです。急で悪いんだけど、俺と橋下詩音の休暇を頼みます。 やっと…見つけたんだ。…ええ、そう。 一週間の予定は全てキャンセルで。 …橋下の代わりは…あぁ、そうですね。それは中田君に頼んで調整してもらって下さい。 はい。よろしく頼みます。じゃあ。」 篠山さんに後のことを押し付けて丸投げしてしまった。 とにかく一週間の休暇をもぎ取った。 もう、今の俺には他人を思いやる余裕が全くない。 それだけ、番にやられてしまっているということなのだろう。

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