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俺達、結婚します⑤

漸く落ち着きを取り戻した詩音の頭をずっと撫でながら 「親父もお袋も喜んでた。『おめでとう』って。 今、海外にいるから、来月一旦帰国したら、お前のご両親に挨拶に伺うと言ってたよ。 お袋なんて『早くお嫁ちゃんに会いたい』ってさ。 お前さえ良ければ、明日にでもお前のご両親の所へ行って許しを得て、俺は直ぐにでも籍を入れたいんだ。 『麻生田 詩音』 いい響きだと思わないか?」 「…えっ…俺…」 「…詩音…嫌か?」 「…嫌だなんて…」 「じゃあ、どうして迷う?」 「だって…俺…俺なんかが…」 「『なんか』は、もう無しだぞ。 お前はお前のままでいいから。俺の側で俺と一緒に年を取っていってくれ。 ジジイになっても離してやらないから。 大丈夫。後悔させない。 愛してるよ、詩音。」 上目遣いで俺を見上げる詩音の目が潤んだと思ったら、見る間に涙が溢れてきた。 「…よく泣く奴だな…目が溶けて無くなってしまいそうだ。」 「…ごめんなさい…」 思いっ切り抱きしめてキスをした。 これ以上のことをしたくて堪らなかったが、詩音の体調を考慮して…耐えに耐えた…

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