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俺達、結婚します⑥
そういえば、二人とも身体を重ねることに夢中で、数日間何も口にしていなかった。
俺は詩音に、何か作るから少し待つように と言い残し、キッチンへと向かった。
冷蔵庫には必要なものが揃えてある。
確かアレルギーも好き嫌いも無かったはずだと社員名簿の嗜好欄を思い出して、直ぐできるものをあれこれ見繕い、料理に取り掛かる。
お袋仕込みの美味い飯を食わせてやろう。
野菜たっぷりの豚汁に、鯖の塩焼き、小鉢には酢の物を添えて…
二人分をトレイに乗せて、詩音の待つ寝室へ戻った。
詩音は今度は泣かずに、それでも心細げな顔をして大人しく待っていた。
「お待たせ、詩音。お腹空いただろ?
ほら、美味いから食ってみろ。」
「…ありがとうございます。これ、継が?」
「あぁ。簡単で悪いな。」
「美味しそう…でもここで?…お行儀が悪い…」
「あぁ、もう。いいから…詩音、あーん。」
口元に運ぶと、詩音は戸惑いながら少し口を開けた。
「…美味しい…でも継、自分で食べます。」
もう少し楽しみたかったのに…恨みがましく呟きながら渋々詩音に箸を渡し、あぁ、こうやって『二人の初めて』が増えていくのだな…なんてちょっとうれしくなって、顔が緩みっぱなしの俺なのだった。
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