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俺達、結婚します⑩

詩音の家族から手放しに喜んでもらい、俺達はホッとして実家を後にした。 「継、ありがとうございました。継のご両親まで連絡をくださってたなんて…」 「あぁ、あの人達らしいや。 お前のご両親達に認めてもらえてよかった… あんな優しい家族の中で育ったお前は…だから同じように優しいのだな。 早速だが、承諾を得たから俺は今日すぐ入籍したいんだ。詩音…いいよな?」 「…本当に俺でいいんですか?俺なんかで…後 悔しませんか?」 「どの口が言うんだ?そんなこと言う口は塞いでしまうぞ。」 信号待ちを利用し、素早くシートベルトを外した俺は、両手で詩音の頬を挟み込むと、舌を差し込む濃厚なキスをお見舞いした。 「んむっ!?んーんっ…んっ」 一瞬硬直した詩音の身体が次第に解れていった 。お互いを欲する匂いが混ざり合い、車内に充満していく… パパーーッ 後続の車からクラクションを鳴らされ、止む無く詩音から離れて発進させる。 詩音は耳まで真っ赤に染まり俯いたまま。 「今夜は『新婚初夜』だからな。覚悟しとけよ。」 ぷしゅー っという音が聞こえそうなくらいに、詩音はますます赤くなり、両手で顔を覆うと突っ伏していた。 何やってもかわい過ぎる。 俺はもうコイツにメロメロだ。 一秒でも早く法的にも俺の物にしなければ。 俺は目に付いたハイクラスのホテルの駐車場に車を滑り込ませると、訝しがる詩音をせき立ててロビーラウンジへ向かった。 コーヒーを注文してから、一枚の用紙を取り出す。 「詩音。後はお前の名前を書くだけだ。 さっき、お義父さんとお義兄さんに証人の署名をしてもらってる。 書き終えたら出しに行くから。」 「いつの間に!?…はい…よろしくお願いします。」 詩音を表すような繊細で美しい文字が、たった一つ残った空欄を埋めていった。心なしかその手が震えて見える。 「…よし。コーヒー飲んだら行くぞ!」 俺は書類をきちんと畳んで片付けると、香川先生に『後一時間程で婚姻届を提出します。依頼してあったバース機関への対応よろしくお願い致します』といった旨のラ◯ンを送った。 直ぐに既読が付くと『もう手配してあるよ。おめでとう!継。幸せになるんだぞ!』と返信がきて、ホッとして詩音を見ると、潤んだ目で俺を見ていた。 このまま押し倒したい… いやいや、夜まで我慢しろ、俺。 そして… 二人でド緊張しながら提出した婚姻届は、呆気ないほど淡々と事務的な手続きが終わり… 俺達は正真正銘の夫夫となった。

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