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新婚さんってナニするの?②
絶妙のタイミングで運ばれてくる料理に、詩音は大きな目を見開き輝かせて
「継、すごく美味しいです。」
小首を傾げ、にっこりと微笑む。
あぁ、天使降臨。羽根が見えるよ、詩音。
先程からチラチラ視線を送ってくる周りの客よ、俺の詩音を見るな。詩音が減る!
威嚇のオーラを放つ俺のところへ、オーナーのシェフが現れた。
「継君、楽しんでいただけてるかな?
本当におめでとう!いやー、こりゃまたベッピンさんだな!
ようこそ、詩音さん。おめでとうございます。
彼はヤンチャだけど頼り甲斐のある男だからね、安心して!
どうぞお幸せに!」
「急な予約ですみませんでした。お陰でいい記念日になりました。ありがとうございました。
…ヤンチャは余計だよ、清 パパ。」
「あ、ありがとうございます。今後ともよろしくお願い致します。
ものすごく美味しいです!本当に楽しませていただいてます!ありがとうございます。」
頬を染めて話す詩音がかわい過ぎて、写メりたくなる。
「これ、特別バージョンアップしたお店からのお祝い。
お口に合うとうれしいのですが、どうぞ。」
後ろで控えていた健人君がサーブしてくれたそれは、デザート皿に美しくデコレーションされた小さなウエディングケーキ。
詩音の目からポロリと涙が一筋流れた。
「綺麗…うれしい…」
いや、綺麗なのはお前だよ、詩音。
「せっかくだからケーキカットの練習しようか。」
席を立って詩音の側に行くと、涙をそっと拭き取りながら、悪戯っぽくささやいた。
戸惑う詩音の背中から手を回して、右手にナイフを握らせカットする。
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