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新婚さんってナニするの?③
そして一口分をフォークで掬い、詩音の口元へ。
目をパチパチさせて固まる詩音に
「詩音、はい、あーーん。」
溶け落ちそうな生クリームを見て、仕方なく嫌々開けた口に滑り込ませた。
そして手を握りしめたままそのフォークを使い、今度は少し大きめに掬うと自分の口へと運んだ。
重ねた詩音の手が熱く、じっとりと汗をかいていた。
耳まで真っ赤な詩音に満足して席に戻り
「清パパ、ありがとうございました。
健人君もありがとう!
滅茶滅茶うれしいです!」
一足早い結婚式気分を大いに満喫してレストランを後にした。
「ん?詩音、どうした?苦手なものでもあったのか?」
「…違います。全部ものすごく美味しかったです。ご馳走様でした。」
「じゃあ、何故そんな顔してるんだ?」
「…継が、お店の中で…みんなの前であんなことするから…」
「あぁ…ダメだったのか?」
「ダメって…恥ずかしいじゃないですかっ!!
俺、もう、あのお店には行けませんっ!!」
「お前がかわい過ぎるのがいけないんだ。あれくらいで恥ずかしいだなんて。
これからもっとたっぷりと…
何たって俺達は『新婚さん』だからな。
覚悟しとけよ、詩音。」
ひくっと喉を鳴らして縮こまった詩音の頭をヨシヨシと撫で、俺達の愛の巣へと車を走らせた。
エレベーターを降りてすぐに、詩音を横に抱いた。
「ひやっ!継っ…下ろしてっ!」
「ダメだよ。新婚さんはお姫様抱っこで新居に入るもんなんだ。」
よっ…と。ガチャ
一旦玄関で詩音を下ろして靴を脱ぎ…また姫抱きして、リビングへ進む。
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