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どうしたらいい…side :詩音①
番ができた。
入籍もしてしまった。
彼と自分の匂いに当てられて、あろうことか初対面で身体を繋げ、頸を噛まれて…両親に挨拶に行き、婚姻届を提出した。
相手は…よりによって俺の会社の社長だなんて。
嘘みたい…俺…この人と結婚したんだ…
俺を足まで絡めて抱きしめ口元を綻ばせて眠る美しい顔に見惚れながら、思考がぐるぐる回っている。
相変わらず彼からは、官能的でそれでいて爽やかな大好きな匂いが流れてくる。
下半身に当たっている彼自身は熱くて固く…昨夜の情事を思い出して恥ずかしくなり、絡まった足をそっと外し少し腰を引いた。
それでも浅ましい己の情欲に抗えず逞しい胸に擦り寄って、大好きな匂いを胸一杯に吸い込んだ。
「そんなに俺の匂い好きなのか?うれしいねぇ、詩音。
おはよう、俺の奥さん。身体はどうだい?痛いとこは ないか?」
「ひゃっ、あっ、継、おはようございます…
あの、あの、ごめんなさい…起こしましたか?
痛いとこ…あ…あの…」
不意を突かれてあたふたしてしまう。
痛いとこは『アソコです』 なんて言えないっ!
半端ない異物感。まだ継が埋め込まれているようで…
顔が熱い。身体が火照る。
ぶわりと濃いフェロモンが出るのがわかった。
「しーおーん。俺のことそんなに思ってくれてるの?
…何も言わなくても匂いでわかる。愛してるよ…」
綺麗な顔が近寄ってきて…キスされた。
一層強く抱きしめられ、昂ぶった下半身を押し付けられた。
「あっ」
思わず甘い声が溢れてしまった。
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