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どうしたらいい…side :詩音④

ぐったりと動けない俺を甲斐甲斐しく世話を焼く継。 「すまない、調子に乗って朝からヤり過ぎた… お前と結婚できたと思ったら我慢できなくて…」 ふるふると首を振って、大丈夫です と答えた。 「継…」 「ん、何か欲しいものあるのか?何でも言ってごらん。」 「継は、俺のことを…調べていろいろとご存知なんでしょう? 俺は…継のこと、社長だということしか知りません。 恋愛期間もなく、直ぐに結婚なんて、それで良かったのですか? 継には、もっと似合いの人がいたんじゃないですか?」 継は俺をじっと見つめ、黙って聞いていたが 「俺は…最初は強烈に匂いに惹かれた。 絶対に『運命の番』だと思った。 社員名簿で独身のΩを探した時、お前の写真を見て『俺の番はこの人だといいな』と思ってた。 今思えば…一目惚れだったんだろう。 初めて会えて、もうどうしようもない程に惹かれて、半ば無理矢理に俺のものにした。 お前の頸を噛んだ時、目の前にないはずの鎖が現れて、カチリと合わさって…消えたんだ。 間違いない。俺とお前は『運命の番』だ。 だから、俺にはお前しかいない。 お前にも俺しかいない。 俺のことは、一緒に生活して知っていって欲しい。お前にだけ素の俺を見せるから。 恋愛は今からしていこう。いやもう、お前に夢中なんだ。 今だって、お前のことを考えるだけでこうなってる。」 継は、俺の両手を取ると右手を自分の胸に、左手を猛々しく反り返る楔に当てがった。 胸は猛ダッシュした後のような早い鼓動で、楔は脈筋が立ち火傷しそうに熱かった。 俺はどちらにもドキッとして思わず 「すごい…どっちも…」 「お前に恋してるんだ。たくさん恋して…愛し合おう…詩音、愛してる。」 俺の心臓がドクンと跳ねた。 あぁ、もうダメだ…目の前の獣に完全に魅入られて墜とされた。 意を決して、するりと継の首に両手を絡ませると、耳元でささやいた。 「継、愛してます…俺を…愛して下さい…」 すると継はうれしそうに破顔して、俺を抱きしめた。 「そんなかわいいこと言うと、今日は一日ベッドから動けそうにないんだが…」 「だめっ、継!もう無理ですっ!俺、壊れてしまうっ!」 「…そうだよな…じゃあ、お楽しみは後に取っておくから、メシにしよう。 詩音はココにいて。」

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