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第2話 (2)
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後何分で帰る時間、と午後は教室の時計と睨めっこをしていたら、あっという間に放課後になった。
先生には「小泉が授業中に起きている!」、と物珍しそうに言われ、クラスメイトも驚いていた。
大体の授業は先生の話が子守唄のようにしか聞こえず、寝て過ごしていたからだろうか。
一時期授業にも出ないでサボっていた事もあったが、母親にバレて授業料無駄にするなとブチ切れられたものだ。
今日も中身が空っぽな鞄を机の上に置いて、携帯電話をチェックする。母親から晩ご飯のリクエストが来ていて、返事を返した。
アプリケーションゲームをやり始めて帰ろうとしない志津を見て、蒼生と空太から怪しまれるも、志津はクラスメイトが大体帰るのを見計らって昇降口に向かった。
そわそわと気持ちが落ち着かない。
男同士で帰ること等なんてことも無いが、志津と総司の間では、付き合っている事になっているのだ。
上履きから靴を履き替えると、辺りを見渡している総司を見つける。
確実に自分のことだろう。
本当に一緒に帰るつもりで待っていたのかと思うと、ドキリとした。
人気が無くなるのを待っていた分、来るのが遅くなってしまい、どう声を掛けようか迷っていると先に総司が気付いて微笑んで見せる。
「あ、来た来た。誘い方が一方的過ぎたかなって心配だったけど、来てくれて嬉しいよ。一緒に帰ろうか。とは言っても塾があるから途中までだけど」
「う、うっす」
男が待ち合わせ場所に来て嬉しい、とはどう言った気持ちなのだろうか。
ぎくしゃくとしてしまっている志津とは対照に、穏やかな表情を浮かべる総司は学校を出た。
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