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第3話

この関係をどうすべきか考えているうちに、付き合い始めて二週間が経っていた。 付き合っていると言っても都合が合えば一緒に帰ったり、校内で会ったら軽く話したり友達みたいな感覚で志津は悪い気はしなかった。 「なーなー。最近、五十嵐先輩とつるんでばっかで俺寂しいんだけど?」 午前の授業が終わり、蒼井が志津の席の前に座って眉根を下げている。 才色兼備で優等生でもある五十嵐総司と不良で悪目立ちしている小泉志津が、仲良くしているとちょっとした噂になっていた。 不釣り合いではあるが、先輩後輩として接しているだけであろうと捉えられ、付き合っているとは思われていないようだ。 「寂しいって・・・・・・。たまには一緒に帰ったりしてるだろ」 とは言っても、蒼井の喧嘩の加勢に行ったりするのがほとんどだ。家も近いので喧嘩をした日は傷を作って、互いに痛々しい姿になって帰っている。 「絡まれたからって、いちいち喧嘩買ってんなよ」 空太が呆れながら話に割って入ってきた。 空太も喧嘩に混ざったりはするが、大体は疲れ果てた蒼井を回収しに来ているようなものだ。 志津に比べて蒼井は体力がない。 「だって、ナメられる理由(ワケ)にはいかないから、喧嘩するしかないだろ」 蒼井は口を尖らせる。目つきが悪く、態度もデカいと言う理由だけで、よく他校生や上級生に絡まれていた。 そこには、女癖が悪い原因も含まれているだろう。蒼井が固定の彼女と一緒にいる所を見たことがない。 「だからってなー」 空太の深いため息が聞こえた。空太は蒼井に喧嘩をやめさせたいのかもしれない。 なんとなくだが、そんな気がしたのだ。 「とにかく、志津!今日の放課後忘れんなよ!」 「分かってるって」 蒼井は志津に確認を取ると、空太と一緒に食堂に行った。いつもなら、志津もその中に加わっている。 教室から出た二人を見送ると、志津は鞄の中から手提げ袋を取り出した。中身はずっしりと重みがある、お弁当箱が入っている。 気恥しさを隠しながら、実験や実習がある時にしか使われていない校舎棟に向かった。

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