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第2話

この世界に来て2週間が経った。 ぼくは今、スカウトされている。 夜の蝶を束ねるこの人は狐の獣人のタッツィーネさん。キャバクラと娼館とバーと宿屋と、つまりそっち関係を手広く商売にしている人。そんな人がぼくの噂を聞きつけて自らスカウトにやって来た。 「ぼく、娼館は絶対無理です。他のお店だってどうしたら良いか分かりませんし、今のお店が大好きなので他に行くなんて考えられません。」 営業前のマスターのお店の中で狐さんの話を聞いている。ぼくの保護者的立場のマスターが側に居てくれるのが心強い。 「お給料はここの3倍、いえ、5倍にはなるわよ!」 間に合ってます。 みんなの家に転がり込んでるし食事はここのお客さんが分けてくれるし、服もこだわりがないからそんなに要らないし。 「獣人がほとんど居ない所から来たんでしょ?うちのお店なら色んな獣人が来るわ。触って欲しくて来る人もたくさんいるから、耳や尻尾触りまくれるわよ?」 ぐぅっ!! なんでぼくがそこを触りたがってるなんて分かるの!?このお店の唯一の不満は常連さんばかりだから迂闊にお触りできない事だ。性感帯だと言うもふもふのケモ耳や尻尾を触ったら、それこそ商売替えした事になってしまう。 「ね、まずはお客さんとして来てみない?見学って事でタダで良いから!お友達も少しなら連れて来て良いわよ!」 見に行くだけ? 行く!行きたい!! ぼくの気持ちを察してマスターがヤマネとメルを連れて行け、って言った。 タッツィーネさんのお店に行くと、ボックス型の席がたくさんある大きな店だった。この町って割と大きな町だったのかな?マスターのお店とは反対方向にあるのでこの辺は全く来たことがなかった。 「いらっしゃい! どんな獣人が見たい?近くに座らせてあげるわよ。」 ヤマネさん達が緊張感丸出しだけど、大丈夫かな?どう言う緊張なんだろう? 「山猫さんとタヌキさんとイタチさんしか知らないので、それ以外の方が居たらお願いします!」 席に案内されて座ると、ウサギ獣人のラブさんと犬の獣人のハニーさんが来た。この2人はお店の人なので同じデザインの制服を着ている。ミニ浴衣風で袖は腕の付け根から手首に向かって広がっている。2人はヤマネさんとメルさんにしなだれかかって嬉しそうに接客をする。ぼくは放置? 「あなたは見習いだから私たちがお客さんに何をするのか見せるように、って店主に言われてるの。」 まだ見習いにもなってませんが? 「ダメ! ミッツにこのお店は向かないよ!」 メルさんが犬の獣人さんを押しのけて言う。恋人なの?って聞かれたけどどう答えたら良いんだろう… ラブさんとハニーさんに耳や尻尾のお触りについて聞く。結構な確率で触られたがるらしい。いちゃいちゃするのが目的だから当たり前だけど、ここではお触り以上の事は禁止だって。それ以上の事がしたいなら本人の意思確認を店主がして、2階の部屋に行くそうだ。無理やりじゃないか、飲み過ぎておかしくなってないか。タッツィーネさんが店の人達を大切にしている事がうかがえる。 あ、ヤギの獣人さんだ。 隣のボックス席に来たヤギの獣人さん。角がある!確かに耳を触らせてうっとりしている。ちょっと羨ましい。 ヤマネさんもメルさんもかっこいいからラブさんもハニーさんも仕事を超えてメロメロだ。飲み物と食べ物が運ばれて来たけど、正直マスターの方が料理が美味しい。 でもウサ耳も犬耳も可愛くて触らせてもらったら2人ともヤマネさんとメルさんにしがみついて喘いで身を震わせた。 …? 感じやすいのかな?隣のヤギさんも驚いた顔で真っ赤になってる。 「ちょっと! 何をしたの!?」 タッツィーネさんが飛んで来た。 責めるような口調に慌てて口ごもるぼくのした事を、ぐったりとした2人が身を起こして説明してくれた。 「耳を触っただけ、ですって…?」 信じられないでいる店主さんに試してみろとヤマネさんが言う。 席を移動して狐耳を触らせてもらった。 ふかふかの耳毛をそろりと触り、ゆっくりと耳の付け根に指を近づける。指先で優しくつまんでやわやわと揉むとタッツィーネさんは「んんっ…」と堪え切れない小さな喘ぎ声を漏らした。 気持ちいいんだ…と思うと愛おしくって耳を撫でまくる。そして調子に乗ってしっぽも撫でると 「ふっ、あぁ…あっ、あっ…、はぁぁぁん!!」 身を強張らせた後、がっくりと弛緩する狐さんは緑色の瞳を潤ませて壮絶な色香を放っている。 「こんな事って…」 こう言う仕事をしていたら百戦錬磨だろうに耳としっぽを触られただけでイくとか、可愛すぎる。耳としっぽの性感すごすぎぃ! 「やっぱり…ミッツの手が特別なんだ!」 メルさんの感想にヤマネさんが力強く頷く。ぼくが特別なの? 隣のヤギさんがこっちを気にしてたけとど、隣の人が腕にすり寄って浮気しちゃダメ、って感じで甘えて注意を引き戻してた。 「この子、絶対うちに欲しいけど取り扱いに注意しないと危険だわ!」 ラブ&ハニーさんが着替えに行った。 そこに… そこに!! 熊だ!熊の獣人さんだ! すっごく大きくてボックス席がとても狭く見える。あの服の中には確実に立派な雄っぱいが存在する!! 「クマさん…」 ぼくがうっとりとした声を出したから、ヤマネさんとメルさんの顔が強張り、タッツィーネさんの目がギラリと煌めいた。 「ね、嫌じゃなかったらクマさんの席に行ってみない?実はあの人時々来てくれるんだけど無口でうちの子達の手に余るのよ。衣装も貸してあげるから!ね?」 止めようとするヤマネさん達を迫力のひと睨みで制し、スタッフルームに連れていかれる。着せられた衣装は皆と同じミニ浴衣風の服だった。ふんどしの前布が見えそうで戸惑っていたら紐パンを渡された。 恥ずかしいよ!! 「見せなきゃ大丈夫でしょ?」 そう言われて受け入れてしまう自分は少し軽いんじゃないかと不安になるが、やっぱり深く考えるのは趣味じゃなかった。 その姿で店に出ると小さなどよめきが聞こえた。特に紹介するでもなく、クマさんの席に連れて行かれる。 ここで初めて見習いですと紹介され、初めてなので失礼があったら教えて下さい、と言ったけど無表情で無反応。大丈夫かな? 一応、もう1人リスの獣人さんが入ってフォローしてくれるんだけど、好きにして良いといわれた。 目の前にクマさん。逞ましく盛り上がった筋肉がグラスを持って上下するだけでも形を変える。触りたい。 「あの、腕を触っても良いですか?」 雄っぱいに辿り着く前に丸太のように太いを堪能する。 「堅い… 太い…」 「ユキちゃん、逞ましい人が好きなの?」 リスのマリンさんが聞く。ここではぼくはユキちゃんと呼ばれる事になった。源氏名と言うか、本名の後半です。 「はい… 厚く盛り上がった筋肉が力を抜いた時の弾力が一番好きですが、力強く堅くなっているのも素敵です〜…」 はぁはぁ、やばい、めっちゃ興奮する! クマさんはそっとグラスを置いて、すっと腕を差し出してくれた。 ぎゅぅぅぅぅ… はっ!思わず抱きしめてしまった!! 上腕も肩もメリハリが効いてて思わず形をなぞってしまう。筋肉への憧れはあったけど、こんなに幸せになれるなんて知らなかった〜!! 「ご、ごめんなさい! クマさんがお客さまなのにぼくが幸せになっちゃって!」 「…筋肉が好きとは珍しいな。」 あ、クマさん少し笑った!? …こっちの人はそうじゃないの? 「乱暴なイメージがあったり、触り心地が悪かったりで喜ばれる事は少ない。君のように柔らかい方が良いに決まっている。」 「ぼくにとって、クマさんは気は優しくて力持ち、ってイメージなんです。あと可愛いです。」 マリンさん、そんなに驚く事ないと思いますけど? 「そ、そう。なら一番好きな筋肉はどこ?」 マリンさん、その質問、待っってました! 「大胸筋です!胸の筋肉の谷間に顔を埋めたい…」 クマさんがすっとぼくを持ち上げて膝に横抱きにしてくれた。 「良いんですか?」 見上げるぼくに頷くクマさんは少し目尻が赤い。ぼくはボフッと胸に顔を埋めた。 ん?ボフッ? 服の中には確かに立派な雄っぱいがあるのが分かる。分かるのだけどその手前にふかふかの手触り。何か入れてる? ほとんど無意識にシャツのボタンを外すとそこにはモッフモフの胸毛、クマの毛が!! 「モフモフが!もふもふが!」 顔を擦り付けて喜ぶぼくは変態かも知れないが理性なんて丸めてポイだ。もふもふ、ふかふかの熊毛に覆われた雄っぱいは滑らかな曲線を描いている。本来の形を確認するように手を這わせているとそこだけ肌を晒す小さな粒が触れた。 びくっと身体を強張らせるクマさんに少しだけ理性が引き戻され、やってしまった!と恐々顔を見上げる。引かれたよね? 「嫌な事、しちゃいました?」 それより呆れられたかな? そう思って見つめても反応がない。えい!乳首きゅっ! 両方の乳首をきゅっつ摘まむビクビクっとさっきより大きな反応が。 あぁぁぁぁ…楽し〜い! 楽しくなっちゃって鎖骨に頬ずりしながら乳首弄んでいたら腿の下に熱い塊があたる。 乳首をつまみ、捏ね、擦るとクマさんの「くっ」とか「んっ」とか鼻から息が抜ける声が聞こえる。 もう我慢できない!! ぼくは鎖骨に噛み付いた。甘噛みより少しだけ強く噛んだ刺激は下半身を直撃したようで 「ぐっ、うぅ…!」 って声を漏らしてクマさんが仰け反った。 はぁはぁと荒い息を吐くクマさんの胸に抱きついて可愛い、って言ったら 『下着の替えも販売しております。』 って書いてあるメニューの裏をマリンさんがすかさず見せた。裏メニュー? クマさんが席を外す間にマリンさんにやり過ぎちゃってすみません、と謝ったら感動した!って言われたけど、意味が分からないよ。 戻って来たクマさんにも謝ると、 「謝らなくて良い。ありがとう、また来るよ。」 と頭を撫でられた。ヤマネさんとメルさんと一緒にスタッフルームに連れて行かれた。 「まさかこんなに逸材だとはーーーーー!!」 タッツィーネさんが叫びながら拝むような仕草で言う。 メルさんが縋るような目でぼくを見る。 「…ミッツはああ言う人が好きなの?」 「ああ言う人『も』好きです!」 ぼくほ触り魔だったようです。

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