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第3話

タッツィーネさんのお店「さわれる夢」に本採用が決まった。 週に1〜2回、不定期に出勤する。出勤日は告知せず、会えたらラッキー、にしておくそうだ。また、あまり遅くなるのは危ないと言う事なので夜の10時半くらいにはヤマネさん達が交代で迎えに来てくれる。 それ以外は今まで通りマスターのお店で働く。 どっちも遊んでいるようなものだけど…。 今日は『さわれる夢』の日。 こっちは黒服見たいな従業員が掃除や店の準備をするので、ギリギリの時間に入って制服に着替えて店に出る。 1番人気の人に睨まれてしまった。猫の獣人でニャンさん。すっごい美人!! シャムっぽい見た目通り、とても気位が高い。でも本気で仕事に取り組むかっこいい人。仲良くなってあのすんなり伸びたしっぽを撫で回したいけど、今は近づくだけで威嚇される。 デレるのを楽しみにしてます。 初めてのお仕事は黒豹のお客さんに指名された。黒髪で褐色の肌に緑の瞳の黒豹さんはかっこよくて野生的なイケメンさん。ヤマネさんより少し骨太な感じ。 わざわざぼくのところに来なくても、いくらでもお相手がいそうなのに。 「失礼します。お飲物はどうしますか?」 少し強めのお酒とツマミを2種。黒服さんに注文を伝えて隣に座る。ゆったりと揺れるしっぽに目が吸い寄せられる。 「ふふっ、しっぽが好きなの?」 「はい!耳もしっぽも大好きです!」 あ、食い気味に言ってしまった。 「触ってみる?」 「はい!」 手を伸ばして触ろうとするとするりと逃げる。追いかけるとまた逃げて、鼻先を掠めて誘う。追いかけてバランスを崩し、黒豹さんの膝にうつ伏せに乗ってしまった。 「ひゃん!」 シルクのような肌触りの制服の上からするりと腰を撫でられる。 「しっぽの無い丸いお尻。肌の露出した耳。ヒトなんだね。」 「そうですよ。だからしっぽが羨ましくて… このお店で働く事にしたのも恋人にならなくても耳としっぽを触らせてもらえるからなんです。」 それじゃぁいじわるしないで触らせてあげるね、と身体をひねってしっぽをこちらに向けてくれた。 漆黒の毛並みはビロードの手触りで逆撫でしないように気をつけながら触る。服の隙間から毛皮の無い身体から生えている付け根を触ると「うぁっ!」って声が聞こえた。 「ごめんなさい!痛かったでしょうか?」 「い、いや、その驚いただけだよ。大丈夫。」 良かった、大丈夫そう。耳も触らせてくれるかな?ヤマネさんは先がピンと尖った三角耳だけど、黒豹さんは先が丸くなっている。 「耳も触っていいですか?」 興奮した目で見つめるとごくりと喉を鳴らして小さく頷いてくれた。 座り直して手を伸ばし、片耳に触れる。少し肉厚のしっかりとした感触にふわふわの耳毛。本物の黒豹なんて触った事無いけどやっぱりケモ耳サイコー!! 膝に跨がって両手でそれぞれの耳をもみもみさわさわしていると黒豹さんの息があがって来る。目の前にある顔に頬ずりしてから引き寄せて耳をはむはむと甘噛みしながら空いた手でしっぽを撫でると 「くぅぅ…っ!!…う、はぁっ…」 って抱きしめられた。幸せ!大満足!! あれ? 放心状態の黒豹さんに大丈夫ですか?って聞いたけど戻って来ない。どうしよう? 他のお客さんから指名が入ったので黒服さんに任せて席を移動する。 2人連れですらりとした犬の獣人さんと…角のあるこげ茶色の髪のガチムチ牛獣人さん。雄っぱい!雄っぱい!犬の獣人さんにはラブさんが付いていて顔なじみっぽい。 やっぱりガチムチでモテないせいで人付き合いに積極的になれない部下を連れて来たそうだ。で、筋肉好きのぼくをラブさんが勧めてくれた。 「うわぁ、めちゃくちゃ可愛い子だね。今度指名しようかな?」 犬さんが軽口をたたいてラブさんがもう!って腕に抱きついてる。お決まりのやり取りっぽいな。 「新人のユキです。よろしくお願いします。」 にっこり笑って隣に座るとぽっと赤くなる牛さん。うわ!可愛い!! 「触らせてもらっても良いですか?」 カチコチに緊張してて返事は無いけど、拒否されてないから触っちゃえ! 手の甲からゆっくりと触ると、前腕から上腕に向かって太くなって行く。クマさんより細身だけど後背筋がすごい。 「背中の筋肉がすごい〜…抱きついても良いですか?」 今度はぎこちないけど頷いてくれた。太い腕の下に潜り込んで脇から抱きつく。腕が回りきらない!! 「逞しくて良いですね…」 うっとりしながら見上げると牛耳がぴるぴる動いている。触っていいかな?良いよね? ソファに膝立ちになって手を伸ばして触れるとまたぴるっと動く耳。動かない付け根部分に指を滑らせながらきゅっと摘むと息を飲む音が聞こえた。上司の前でやり過ぎたら職場にいづらくなるかも知れないから気をつける!! でも牛耳かわいい〜〜〜〜!! 故意か無意識か牛さんの手がぼくのお尻を撫でていた。 「しっぽがないのって、物足りなくないですか?」 そう聞くとハッとして手を放す。無意識だったみたい。じっと見つめて返事を待つ。 「初めて、触ったけど……その…」 「どれどれ?私にも触らせて!!」 って、ラブさんに撫で回される。滑りの良い生地の上から撫で回されるの、気持ち良い。 「ひゃう!」 「ユキちゃんのお尻、丸くて小さくて可愛い!足なんかなにコレ!って感じじゃない!?」 「どれ?うわっ!本当だ。え?こんなきめ細かな肌触った事無いんだけど!!」 「そうですか?自分じゃよく分かりませんけど。」 初めてがこれじゃ、この先誰にも満足できないから触るの止めとけ、って牛さんに言ってる。戸惑う牛さんの手を腿裏に触らせて 「触らせてもらってるから、触って良いですよ?」 おずおずと撫でる大きな手は性的な感覚より安心感が勝る。その手が上がって来て服の中に入りそうになった。 「だっダメ!!服の中はダメ!」 シュンとしてしまう牛さんに謝る。 「そこはまだ誰にも触られた事ないから…ちょっと怖くて…」 「うっそぉ!!」 ラブさんがめちゃくちゃ驚いている。そこまで驚く事ないだろう、と思ったのはぼくだけではなかったようで 「こう言うお店で働いてるにしても、新人だし若いんだからそこまで驚く事でもないんじゃない?」 犬さんの言葉にだってだってと反論するラブさん。 「だってこの子! 耳としっぽのお触りだけでイかせるスーパーテクニシャンなのよ!?私もだけどタッツィーネさんまでイかされたんだから!!」 声、大きいです!! まさか、と呟く犬さん。ちょっと試してみたくなって勝手に耳を触ってイタズラしちゃった。 「うぁぁぁ、やばい、それやばい!」 「やばいですか? 前は加減が分からなくて夢中になっちゃって、それで…」 ごにょごにょと尻すぼみになるぼくを空いた口が塞がらず、赤い顔でただ見つめる犬さん。 「ちゃんと加減を学びますから。ね、牛さんは大丈夫だったでしょう?」 「…大丈夫、でしたけど… そう言うのも… 興味あります。」 初めて声が聞けた。身体はゴツいけど結構若い。まだ十代かな? 黒服さんが次の指名を知らせに来たので 「じゃぁ、次はもっと触らせてもらいますね。」 と言ってハグして挨拶をして席を離れる。新人は顔を広めるためにあちこちから呼ばれるようだ。 次のお相手は…… 大きい。クマさんと同じくらい大きい。でもこちらの人は銀髪だ。耳を見る限り人っぽい。 「失礼します。」 ここでもリスのマリンさんが付いていた。マリンさんマッチョ担当? お客さんの顔を見た。…これは!この顔は!! イケメンゴリラ!! 彫りの深い顔に太い眉、大きな口に厚い唇。鼻は少し大きいけどそれほどでもない。 挨拶をすると優しく声をかけてくれてお酒を作ってくれる?と腰に来る低音ボイスで囁かれる。 マッチョでもコンプレックスない人いるじゃん! 場慣れしたゴリラさんは話し上手でとっても楽しい。でもやっぱり気になる大胸筋。 「ユキちゃん、胸見過ぎよ!」 ってマリンさんに笑われた。だってぇ… 「変わってるね。良いよ、触っても。」 眩しい!シャツをはだけて見せつけてくれる大胸筋の谷間。直ですか?直お触り良いんですか!? ぺたりと両手を肌につけ、意外にも滑らかな胸を撫でる。くっきりと象られた胸の盛り上がりは彫刻のようでいくらでも触っていたくなる。弾力を楽しむように揉みながら頬を寄せると男らしい香りに包まれる。 「ふわぁ…かっこいい〜…」 すりすりナデナデ、幸せです。 「お、おなかも良いですか…?」 絶対だらしない顔してるけど、もう夢中でぐいぐい行く。ゴリラさんは引き気味に頷いてくれた。 あぁぁ…シックスパック…腹斜筋… 「筋肉は…どうして噛みたくなるんでしょう?」 「ならないから!!」 マリンさんの鋭いツッコミに正気に戻る。 「ご、ごめんなさい!」 「いや、良いよ。でも本当に幸せそうだね。」 上気した顔で柔らかく微笑むゴリラさんは男の色気がダダ漏れだ。手触りを思い出してまただらしない顔になる。 「このお仕事、天職です!」 ハァハァ… その後、ウサギさんとキツネさんとオオカミさんをもふもふして今日は終了。迎えに来てくれたヤマネさんもベッドの中でモフらせてもらって幸せ最高潮のままに眠った。

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