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第7話

「本当に辞めちゃうの!?」 「はい。」 「考え直す余地はないの?」 「すみませんが体力の限界なんです…。」 タッツィーネさんに引き止められても、もう「さわれる夢」の仕事を続ける気はない。 だって… 5人が順番に可愛がってくれるとね。 体力が持たないの。 2晩ごとに休みを挟んでるけど、発情期には1人が3日連続になる。幸いみんな年に1回ずつだし、ずれてるからまだ何とかなりそうだけど…。メルさんはヒトだから発情期がないので他に人の発情期を避けて3日間ぼくを独り占めする事が話し合いの結果、決まっている。 そんな訳でお店に出る体力がありません。 マスターのお店にもお客さんとしてしか行ってない。ご隠居さんと和みに行く感じ。 「…わかったわ。でも最後にお別れパーティーを開くから!良いわね?」 「わ、分かりました。」 迫力に押されて承諾してしまったけど、何をしたら良いんだろう? タッツィーネさんに言われるがまま、衣装合わせをしたり、指名してくれたお客さんに辞める事とお別れパーティーの事を伝える。 パーティーチケットを買ってもらってお花を贈ってもらってお酒をじゃんじゃん飲んでもらう。そう言うものらしい。 そして1ヶ月後、パーティーの日がやって来た。 「本日はユキちゃんのお別れパーティーにおいで下さり、ありがとうござきます!色々な余興もご用意しておりますので、皆さま、どうぞお楽しみくださいませ!」 タッツィーネさんの口上の後、盛大な拍手に迎えられて登場する。いつもと同じような服だけど、丈が長くて前の合わせが浅くて、歩くたびに脚が出て恥ずかしい。 「今日は僕のためにお集まり下さいましてありがとうござきます。短い間でしたが皆様と触れ合えて、とても幸せでした。今夜は心ゆくまでお楽しみ下さい。」 何とかそれらしいことを言って乾杯をする。まずはお客さん1人1人にご挨拶。 少し喋ってハグをして、の繰り返し。 あ!ご隠居さん!! 「ありがとうござきます。でも、どうして?」 「ミ…ユキちゃんの門出だろう?お祝いに駆けつけなくちゃならんと思ってな。それに…」 ご隠居さんの後ろに隠れるようにキアヌさんとタチバナさん。2人も来てくれたんだ。 「ミ…ユキが俺たちだけのものになるんだから祝わないとね。」 「…どんなパーティーか心配になったってのもあるけど。」 うん、余興がどんなものか分からないけど何かやってもらうって言われてるからね。僕も少し心配です。 「俺たちもいるぞ。当たり前だろ!」 って、ヤマネさんとメルさんとヒノワさんがいた。 この5人は僕が止める理由な訳だけど他のお客さん達から見てどうなんだろう?バレてない? 「あぁ、こいつらか。始めの頃は1人ずつだったが辞めると言い出す前あたりからは複数の匂いが混ざっていた。ハーレムが出来たんだろうとは思っていたが…そうか。」 「幸せになってくれ。」 黒豹さんとゴリラさんがそう言ってくれた。さすが獣人、鼻が利く。 「さぁ!ご挨拶が済んだところでうちの子達のダンスショーをご覧下さい!」 タッツィーネさんの言葉とともに照明が暗くなり、舞台(?)にスポットライトが当たる。電気あるんだっけ? いつものゆったりとした音楽とは違うアップテンポな曲が流れ、〇〇さんとラブさんとハニーさんと、あと2人が5人でポーズを決めている。 そして歌とダンスが始まった。 踊ろうみんなで声を揃えて 幸せ呼び込み番を見つけ ハーレム作ってどんちゃん騒ぎ 苦労も悩みも摘んでポイ! どんな歌詞だよ!(笑) 基本の曲は定番らしく、それを替え歌で楽しむものなんだって。ダンスも息がぴったりで楽しかった! お店が始まる前に集まって練習してくれたんだって。 次にタッツィーネさんのマジックショー!さすが狐獣人? こういうパーティーの時にしか披露しないらしい。 トランプじゃないカードマジック、どこからともなく出てくるボール、いきなり口から水と魚。そして早着替え。 すごいすごい! …水と魚はすごいけど、なんか…うん。 まあ良いか。 「それではいよいよお待ちかねのメインイベント!うちの人気No.1とNo.2によるぅ〜…キャットファイトです!」 え? それって…ぼくとニャンさん? ニャンさんは確かに猫獣人だし、ぼくはネコ…げふんげふん! よく分からないまま、いつのまにか準備されていたリングに押し込まれる。 ちょっと待って! ルールが分からないよぅ! 「ルールは簡単!服を脱がされたら負け!下は脱がせちゃダメよ〜!負けた方には丸一日落ちないインクで顔や身体に落書きされます。皆さま、何を描きたいか考えておいて下さいね!」 聞いてない!! それに落書きってお客さん達がするの? まぁ、上半身だけなら良いか。 「待った!例え上半身と言えど服を脱がせるのは許せない!」 「そうだ!俺たちのユキの肌を衆目に晒すなんて!」 「おほほほほほ! そう言うと思って、ほら!脱がせるのはこの上衣だけで、中にはちゃんと着てるのよ。ね?これなら大丈夫でしょう?」 「負けなきゃ良いんでしょ!ユキ!私と勝負、するわね?」 たしかに衣装の中にいつもは着ないキャミソールみたいなのを着せられた。このためだったのか…。 キャットファイトってよく分からないけど、脱がしっこして勝っても落書きされないだけじゃぁ僕に利点がないなぁ…。 「アンタが勝ったらお願いを1つ聞いてあげるわ。」 「本当に!?」 「私にできる事ならね。」 「やる!やります!!」 ニャンさんと仲良くなってあのすんなり伸びたキレイな尻尾をモフらせてもらうんだ!!

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