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第28話
「結、さっきはどうしたんだ?」
「・・・」
「何か言ってくれないと、俺も分かんねーよ・・・」
はぁ・・・と溜息をついてしまう。
本当に分からない、結がなんであんなことをしたのか、なんで今黙ってしまっているのか。
分からない事だらけで俺はイライラしてしまう。
「分かった、結、もう帰るか?」
ブンブンと思いっきり頭を振る結に何でそんなところだけ主張してくるのか、とまたイライラしてしまう。
じゃあこれからこんな雰囲気でどうやって過ごすんだよ・・・
「はぁ・・・」
「・・・っ、ごめん、なさい・・・」
少し大きめの溜息をついてしまった時、結が本当に小さな声で謝ってきた。
「なんだ?急に謝って」
「ぼく、あか困らせてる・・・」
ああ、確かに困ってるな。
結のことが何も分からなくて、何も分からないことにイライラして、何も教えてくれない結に理不尽に怒ってしまっている。
「ごめんな、俺、お前に怒ってる訳じゃねーよ・・・ただ、自分が情けなくなっただけだ・・・」
そう伝えた俺に結はきょとんとして分かっていなさそうな顔をしていた。
そうだよな、分かんねーよな・・・
「結、お前は悪くねーんだよ。ごめんな?」
「いい・・・あかも、わるくない・・・ぼくも悪くない・・・?」
「ああ、結は何も悪くねーよ」
そう言って俺は結の頭を撫でた。
結はやっと安心したように力が入って上がっていた肩から力が抜けて一気に下がったのが見えた。
「結、まだしたいことあるか?」
「・・・ぼく、いい・・・?」
「何かあるなら付き合うぞ?」
「ぼく、動物さんがいる所、行きたかった・・・」
話を聞くと、結はフードコートに入るまでの道のりでペットショップを見つけてたらしい、それから気になってはいたがなかなか言い出せず・・・そのままこのアスレチックを見つけたことで一回は忘れていたが、遊んでいる間に思い出し余計に行きたくなってしまっていたらしい。
俺はペットショップなんて興味も無かった為どこにあるか分からず、今はアスレチックを出て結に案内を任せることにした。
「あか、こっち・・・」
そう言って俺の手を引っ張ってくる結、フードコートのあった2階に降り結に引っ張られながら歩くこと5分・・・結の行きたかったペットショップがあった。
中に入ると、奥の方に行くと子供の犬と猫がいた。
ほとんどは寝てしまっていたが結はへばり付くようにして見ている。
「・・・かわいい・・・」
一匹見る度に同じ言葉を繰り返し言っている結。
俺にはそんな結の方が可愛く思えてしまっていたが・・・
「お前、動物好きなのか?」
「動物さん、かわいい・・・ぼく、動物さん何でもすき・・・」
そう言い、動物の名前を言っていく結だが、中には爬虫類や両生類の名前も入っていてそれらが苦手な俺は、可愛いと言って楽しそうに名前を挙げていく結がなんだかすごいと思えた。
そして、これからそいつらと会ってしまったときは結に任せようと決めた。
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