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第31話
中野に呼び出された為組長の元に着いた俺たちは中に入り話しかけてくる部下たちに挨拶を返しながら進んでいった。
結は相変わらず部下達にビビッていたが部下たちの中にも小さいのが好きな奴らは以外にもいて、結に優しく接していたのは有難かった。
小さいのが好きでは無い奴らも俺にくっ付いたままの結には何も言えないため近寄っては来ないし、結も話しかけてくる奴らにはビビリながらも少なからず慣れようとはしてくれているらしく部下たちも喜んでいた。
そんなこんなでいつも以上に時間をかけて着いた組長のいる部屋の前には中野が待機していた。
「遅い」
「お前な・・・出先で来てやったのにその言い方なんだよ・・・」
俺は呆れながら返すが、中野は気にもせずに早く入ってくれと断りをいれて戸を開いた。
「おお!結くんじゃないか」
嬉しそうにしている組長に中野は溜息を吐いていたが組長は気にしていないようで結を呼んでいる。
結は相変わらず、俺の服の裾を掴んで離さないため俺は結の背中を押して行くように促した。
ててて・・・と音が立ちそうな小走りで組長の元へ向かう結を嬉しそうに見ている組長。
「組長、あの子が気に入った様で駄々を捏ねて仕事してくれないんだ・・・」
疲れたように言う中野に少し同情する。
組長は普段は近寄れないような威圧感しか出していないらしいが、慣れている俺たち幹部からしたら子供っぽいところもあり中野に関しては秘書のようなこともしているため本当に手を焼いているらしい・・・
俺は外の仕事が多いためそんなに困ったことは無いが、中野からの話をたまに聞いていると確かに大変そうだ・・・とは思う。
「結、今日は何していたんだ?おじさんは、仕事ばかりで疲れた、癒しておくれ」
「組長、嘘言わないでください。仕事ばかりどころか駄々ばかり捏ねて何一つ終わってないじゃないですか」
「・・・そうなの?」
「・・・」
中野に図星を突かれ、結にも見られ黙る組長に俺はこんなこと言えないな・・・と中野に軽く尊敬の眼差しを向けた。
そんな俺と目が合った中野に気持ち悪い物を見る目で見られたが・・・
俺は本当に中野に何をしたんだろうか・・・
基本部下たちには冷たく何か話したりすることも無く、当たり前だが組長にも敬語を崩さない中野は人から冷たいイメージを持たれるが、なんでか俺には出会った頃からこっちからしたら今日みたいな無謀なことは言われるし、他の人に話すような敬語でもなく・・・
話しかけてくる割にはやっぱり無謀なことしか言わない・・・
たまに誘われて飲みに行くこともあるが、そのときに限って何も話さなかったり。
不思議に思っているらしい部下にいつも何話すんですか?と聞かれるが答えるのが難しい微妙な関係のまま出会って5年くらいになる・・・
そんな中野だが誰かといたい時もあるんだろうと付き合ってしまう俺も変なのかもしれない、と思っていた。
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