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第37話 結side
ぼくはあかと出会ってから色んな人と出会った。
なかのさん、おじいちゃん、何だか怖いのに優しくてあかと同じようなでも違う暖かさを持ってる人たち。
みんなぼくに優しくしてくれた。
あかなんて、暖かい毛布をくれて、靴下をくれて、洋服をくれて、ご飯もお風呂も何でもくれた。
これ以上ぼくは何も思い浮かばないのに、あかはもっとわがまま言えって言う。
ぼくは何もいらないのにな・・・ただ一つ、あかの腕の中にさえいれたら何もいらないんだ。
あかと出会って二日目・・・
ぼくはおじいちゃんに呼ばれておじいちゃんのお家に行った。
一回前の日にも行ってたんだけど、緊張して何が何だか分からなくてぼくはあまり覚えていないんだ。
そうしたら、おじいちゃんはぼくをお膝の上に乗せてくれてたくさんお話してくれたんだ。
おじいちゃん、あかと同じ匂いがして、同じ暖かさでお膝の上に乗ってるととても安心する。
でもぼくはおじいちゃんのお膝に乗りながらあかのことばかり見ていたみたい。
おじいちゃんが、嬉しそうにあかのことをたくさん聞いてきたんだ。だからぼくはあかのことたくさん、たくさん話した。
あかがしてくれたこと、ぼくがあかに感じていること、全部お話したの。
そしたらおじいちゃんが急に困ったような顔をしちゃって、ぼくは何かしちゃったかなって心配になって・・・
そしたらおじいちゃんはぼくに
“あかのそばにずっといたいかい?”って聞いてきたんだ。
ぼくは、ずっとってどれくらい?って聞き返しちゃった。
聞き返すのは人をイライラさせちゃうから駄目って知ってたのに。
でもおじいちゃんは嫌な顔一つしないでまた聞いてきた。
“まぁ、極端に言うなら・・・死ぬまで・・・かなぁ”
そんなの答えは一つしかない。
ぼくはすぐさま必死に頭を縦に振った。クラクラして気持ち悪くなっちゃうくらい。
そしたらおじいちゃんはぼくに“いいこと”と言って教えてくれたんだ。
“結くんは、あかのこと愛してくれているんだね”って。
ぼくは“愛”が何なのか分からなくて、首を傾げた。
おじいちゃんはフフッと笑ってぼくに言ったんだ。
“好きより、もっともっと好きってことだよ”
好きよりもっと、もっと好き・・・
そうだ、ぼくはあかのこと好きよりもっともっと、ずっと好きなんだ。
でもだからって、あかがぼくのことそんなに好きじゃないの分かってる。
きっとぼくだけだ。こんなに好きなのは。
だから、おじいちゃんと別れて、帰ってからあかに言ってみた。
「ぼく、あか、だいすき・・・もっと、もっとだいすき・・・」
でもあかにはやっぱり伝わらなかったみたい。
それは分かってたはずなのに、ぼくは悲しくて、受け止められなくて、あかの腕の中にいるのに寂しい気持ちでいっぱいになってしまった。
あかのこと困らせて、ぼくは馬鹿だ。
きっとすぐにここから追い出されちゃう。
あかはちゃんとぼくにはもったいないくらいの言葉をくれたのに・・・
“俺も好きだ”って・・・
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