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第39話

『それに、結くんがお前に求めているのも親の愛情なんかじゃない』 「はぁ?じゃあ何だってんだよ」 『結くんはお前から愛されたいんだよ』 「だから俺は、」 じゃあ結は何が欲しいんだ。 好きになってって言ってたじゃないか。 愛情が欲しいって事じゃないのかよ。 『結くんはお前に、親とか友達とかそんな関係じゃない。結くんだから好きなんだと、結くんだから傍にいて欲しいんだとそう思ってもらいたいんだよ、お前に』 「はぁ?そんな少女漫画みたいな台詞親父から出てくると思わなかったけどな」 『少女漫画まで出てきたなら分かっただろう?結くんがお前に何を求めているのか。結くんがお前に対して何を思っているのか』 「・・・それは、」 それは、結は俺に対して恋愛感情を持っているって事なのか? いや、でも結はあの状況で俺しかいなかったから俺に依存してるだけじゃないか。 なんでそうなるんだ。 そこまで思った俺は何でかむかついてきた。 もしあそこにいたのが俺じゃなかったら? もし結がちゃんとした家庭で育っていたら? 俺は結にとって必要じゃなかったって事なんだろうか。 結は別の奴に懐いて依存してたんだろうか。 「・・・分かった」 『そうか、お前が分かったなら結くんにちゃんと与えてあげろ。結くんはきっと自分からじゃ今は何も求めることはできないと思うからな』 何でも分かっているように言う親父にムカつきはするものの言っていることは本当のことだ。 結のことは本当のところ分からないが親父がここまで言うなら何か結から聞いたのだろう。 俺が結のことを好き・・・なのは自覚した。 結が俺のこと、本当にそういう意味で好きなんでろうか・・・ 自覚した途端不安になってきた。 『じゃあ、年寄りのじじぃから言える事はここまでだ。あとはお前がなんとかしろ・・・結くんを泣かせたら容赦しないからな・・・』 「怖ぇよ・・・」 親父は大層結を気に入っているらしい。 ものすごい低音で言われてしまった。 『じゃあな。また結くん連れて来いよ・・・』 「そんな寂しそうに言うな・・・また行くから。おやすみ」 『ああ、おやすみ』 そう言って親父は電話を切った。 俺も画面を暗くして結を抱えなおす。 「お前を大事にする。誓う。だからお前も応えてくれよな?」 そう誰も聞いていないのに結に誓い、結が起きるまで抱えたまま俺まで寝てしまった。

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