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第40話
それから数時間結をずっと抱えていたため足が痛くなってきていた俺は夜中に起きてしまった。
ふと腕の中の結を見ると目が合った。
「・・・お前・・・起きてたの?」
「・・・ずっと起きてた・・・」
「どれくらい起きてたんだ?」
「・・・ながい針が、一周してる・・・」
結も今気づいたようで驚いているが、起きたなら起こせばいいのに。
一時間も経っているじゃないか・・・
「お前起きたんなら起こせよ」
「・・・ごめんなさい」
「いや、謝ることもねえけどさ」
結に話を聞くと俺の顔を見ていて時間を忘れてしまった・・・らしい。
なんだか恥ずかしくなるような話だが、こいつに言われると素直に嬉しいかもしれない。
「結、俺の話聞いてくれるか?大事な話したいんだ」
「・・・?ぼく、もういらない・・・?」
「・・・は?」
「わかった。じゃあ、あかがぼくを殺してくれる・・・?」
なに言ってるのか俺は分からない。
結は何を考えてるんだ?俺が結を殺す・・・?
なんでそんな事・・・
「ぼく、いらなくなった。ぼく、あかがいないならもう消えたい。そう思ってたから・・・あかがぼくいらないなら殺して・・・それもいらない・・・?」
「なに言ってんだ!俺はそんな話したくて言ったんじゃねーんだよ!」
「・・・ごめんなさい」
違う、こいつに謝らせたいわけじゃない・・・
結には結の思うことがあって、考え方があって、俺は確かに結にはそうなってほしいと思ってた。
でも、そんなこと思うんじゃねーよ・・・
「結、聞いてくれるよな?俺はお前に死んでほしくねーよ。お前には生きててくれないと困るんだよ」
「・・・聞く」
「ありがとな。俺はお前に、結に俺とずっと一緒にいてもらいたいと思ってる。結は俺といたいと思ってくれてるか?」
俺は結を膝の上に抱えなおし向かい合わせで頭を撫でながら語りかけるように言った。
結は黙って聞きながら頷く。
「そうか。よかった・・・俺は結のこと好きだ。お前が言っていたようにいっぱい、いっぱい好きだ。分かってくれるか?」
「いっぱいいっぱい?ぼくと一緒・・・?」
「ああ。それでな、俺は結とずっと一緒にいたいんだよ。俺が死ぬまでずっと・・・」
また結は頷いてくれる。
でも結は何かを言いたそうに口をきゅっと結んだ。
「なんだ?結も言いたいことあるなら何でも言ってくれ。聞きたい」
「・・・あかが、死んだら、ぼくひとり・・・」
「・・・そうだな」
「あかは、死ぬまでしかぼくといてくれない・・・?ずっと・・・それまで・・・?」
なんで今から死んだ後のこと怖がってんだよ。
そんなの、俺の方が早く逝っちまうに決まってるじゃんか。
でもな・・・
「そうだな。俺もお前が急にいなくなったら寂しいかもしんねぇ・・・そん時は、一緒に来てくれるか?お前がもし今と違って、もっとしたいことできたなら俺は待っててやるからさ。だから、お前を置いて行ったりしねぇから・・・」
「あか、一緒に連れてってくれるの・・・?」
嬉しそうに言う結になんとなく悲しくなったが俺は同時にその言葉に嬉しさも覚えた。
「ああ、だから、俺と一緒にいてくれ。お前のこと今までお前が出会った誰よりも大切にする。誓うから」
「・・・ぼく、あかとずっと一緒にいる・・・ちかう・・・」
結は向かい合っている体の間に小指を出してきた。
「・・・やくそく・・・これしたら絶対・・・」
「そうだな。約束だ」
俺は結の小指に自分の小指を絡ませた。
結を誰よりも大切にする。
幸せにする。
一生離さなさねぇ・・・
そう誓った。
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