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第14話
「あか、起きて、起きて・・・」
「・・・んん・・・んー?なんだぁ?」
朝なんだろう、遮光カーテンの隙間から明るい光が差し込んでいる。
結に方を揺さぶられながら目を覚まし、スマホで時間を確かめると7時だった。
「結、どうした・・・?」
寝起きで掠れた声で聞くと、結は黙ってしまった。
「ぼく、起きた・・・あか、起きるの待ってた・・・あか、起きなくて・・・」
なるほど・・・
結は早く起きてしまい、俺が起きるのをずっと静かに待っていた・・・が、俺が起きないため最終的に起こしてしまったと・・・
俺はなんとなく理解できたが、結はまだ説明しようと頑張っている。
「結、分かったよ。大丈夫だ。」
「ぼく、上手く説明できない・・・あか、起こしちゃった・・・ごめんなさい・・・」
「いーや、大丈夫だ。寂しくなっちゃったんだよな。結は何時に起きたんだ?」
俺は別に寝起きが悪いわけでも、何時間も寝ないと駄目というわけでもない。
「分からない・・・まだお外、暗かった・・・」
・・・結は軽く3時間程前から起きていたらしい。
3時間も結は俺が起きるのをじっと待っていたのか。
「結、起きちゃった時は何時だって起こしていいから、気にするな」
「あか・・・ごめんなさい・・・」
「いいんだよ。気にするな。どうする?もう一回寝るか?ご飯食うか?」
「・・・あかは、何したい?」
俺は結がしたいことを聞いたんだが、思った以上に俺を起こしてしまったことに罪悪感を持ってしまったらしい。
「じゃあ、ご飯食うか。」
「うん」
いつもにしては即答な結に俺の選択は間違っていなかったんだと確信した・・・途端、結のお腹から“ぐー”と音がした。
「結のお腹も鳴ったことだし、とりあえず起きるか」
結は恥ずかしそうにお腹を押さえていた。
「何が食べたい?何でもいいはなしって昨日約束したよな?」
俺はニヤリと笑いながら言ってやった。
今日も“なんでもいい”って言われて俺が悩むことになるなんて勘弁だからな。
「ぼく、あさは・・・」
「なんだ?食べない派か?」
「ううん。あの・・・わがままいい・・・?」
「言ってみろよ」
「あの・・・甘い、焼いた、あの・・・」
甘い、焼いた・・・?何だかなぞなぞみたいなリクエストに昨日とは違う意味で悩んでしまう。
「・・・あ、もしかして、フレンチトーストか?」
「それ!それ食べたい・・・いい?」
「分かった。フレンチトーストくらいすぐ作ってやるよ」
結は頬を赤くして頷いた。
俺たちは出会ってから、一日しか経っていないが俺はなんとなく結は顔に表情が出やすいタイプだと思っている。
笑ったり、泣いたり、怒ったり・・・はっきりと出すわけではないが、嬉しいときは頬が赤く染まるし、泣きそうなときは眉間に皺が寄る。
そんな感じでちゃんと見ていないと分からないがちゃんと結も感情が外に出ている。
それが何だか嬉しかった。
そのうちちゃんとした年相応な笑顔を見てみたいし、泣かせてやりたいとも思っているが・・・
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