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第16話

甘い匂いのするフレンチトーストを頬張りながら結は昨日同様「美味しい、美味しい」と何度も繰り返していた。 俺は甘いものが苦手なため別にトーストにした。 「結、今日買い物に行くだろ?」 「あかとお買い物楽しみ・・・」 「お前はどこか行きたい所無いか?」 「行きたい所・・・?ぼく、あかがいたらいい・・・」 んー、聞いた俺が悪かったのか、行きたい場所は聞き出せなかった。 買い物だけでは多分そんなに時間はつぶせない。 意外と潰せるか?なんて考えてみたが無理がある気しかしない。 色々子供が喜ぶ場所を考えてはみたが俺にそんなもの思いつく脳みそがある訳もなく・・・ 諦めて結に聞けば恋人のような回答が来てしまった。今時の恋人だって言わないかもしれない。 「あか、困ってる?」 「いや、まあ悩んでるな・・・」 「ごめんなさい・・・」 「だから、謝らなくていいんだよ」 まあ、帰ってきてぐうたらするのもいいだろう。 久しぶりの休みでもあるし・・・ 結は本当に何かしたいこと無いんだろうか 俺も言ってしまえば結と同じ位の年に組長に拾われたのでこの年の子供の遊びなんて分からない・・・ 外に遊びに行くなんて考えたこともなかったし、周りの奴らが俺に気を使って遊んでくれていたしな その頃から紅は笑わない、なんて言われていたがあんなつまらないギャグで爆笑していた奴らがおかしいだけだと思っている 「じゃあ、今日は買い物だけして家でぐうたらするか」 「うん、あかとぐうたらする・・・」 結はぐうたらの意味が分かっていないようだったが今日の日程は決まった。 今日は天気もいいしきっと結も“ぐうたら”を気に入ってくれるはずだ。 日向ぼっこしてもいいしなぁ 結は今日で何個好きな物を見つけられるだろうか 別に見つけられなくてもいいんだ、ただ今日は楽しんでくれればいい。 何でもいいんだ興味が持てるだけでもいい。 その為には俺自身も好きなこと、プラスの感情を見つけないとな・・・ これは結の為だけではないと思っているから。俺の成長のためにも大切なことなんだ。 俺が成長したら結とだって今以上にいい関係が作れると思ってる。なんて思ってしまっている時点でもう結のためになっているのに俺は気づいていない・・・ もう俺の世界は結を中心に回っていた。結と出会って2日目、それしか経っていないにも関わらずこんなにも結にハマってしまっている俺を組長が見たらどう思うんだろうか。 きっと喜んで笑ってくれるのが目に見えているが、俺はそんな事でさえも嬉しく思ってしまうくらい結に変えられてしまった。 昨日はあれだけ変えられるのが怖いなんて言っていたのに、もう変えられいる俺は単純なんだろうか・・・

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