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第18話

「よし、じゃあ今度こそ行くか!」 さっきのことは置いといて、俺は立ち上がった。 結も立ち上がった俺の手を握って付いて来た。靴はどうしようかとも思ったが車まで俺が抱っこして連れて行くと結はそれが気に入ったようだった。 車に着き俺が降ろそうとすると結は名残惜しそうに俺の服の袖を掴んできた。 可愛いなんて思ってしまった。 このまま抱っこしていてやろうか、なんて思ったがこれから結の生活用品を買いに行かなくてはならない事を思い出しそんな可愛い結を降ろして俺は反対側に乗り込んだ。 踏ん張れた俺を褒めてやりたい。あんな可愛い結を見たら離したくない、と思ってしまう。 「結、お前人が多い所は大丈夫か?」 「・・・分からない・・・」 「人見知りとかしねーのか?」 「・・・分からない・・・ごめんなさい・・・」 「いいよ。行ってみれば分かるだろ?そんな事で謝るな」 俺は車の鍵を挿し発進させる。 デパートは人が多いから結が人見知りだったりしたら大変か、とも思っていたがどうなんだろうか。 組長には人見知りしているように見えたが分からないな・・・ とりあえず駄目そうだったらデパートは出て、色んな所に行きながら人が多い所を避ければいいだろう。 結は今窓の外に夢中だ。 もしかしたら色んなところに行くのも結からしたら楽しいかもしれない。 俺は信号が変わる毎に結を見ていたが結は毎回窓の外を見ていた。 結は外の景色が好きなんだ?なんて思っていた俺は結が運転している俺を何回も見ていたなんて気づくことは無かった・・・ 「たまには遠出するのもいいな・・・」 何も気づかない俺はそんなことを思っていた。元々車の運転は好きだし、よく運転はする。毎日している。 だが、家の周りに生活する分の店は揃っているしそんなに長い時間運転することは普段なかった。 改めて俺は自分の好きな時間を再確認した。 「あか・・・あれ、何・・・?」 結が指指していたのはポストだった。 一瞬俺は意味が分からず結が何を指指しているのかも分かっていなかった。 俺にとっては当たり前な光景かもしれないが結からしたら見たことのない物の方が多いのかもしれない。 「あれはポストだ。あの箱に手紙やら何やら入れると届けてくれる人がいて届けてくれるんだよ。・・・見てて分からない物とかあったら遠慮しないで言えよ?今日出かけてんのは俺たちの勉強の為なんだから」 「分かった・・・」 結は納得してくれ、頷いていた。何だか出かける前より結は楽しんでくれている気がする。知らないものを知っていくのは楽しい物なのかもな・・・ 俺は生きてきて初めてそんな事を思えた。

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