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4ノンケも目覚めるド天然

 永島はズボンを上げながら、俺に少しずつ迫ってきた。 「えっ……と、その、見なかったことにするからっ……」  そう弁解しながらじりじりと後退するが、永島は俺の胸ぐらをあっさりと掴み上げた。 「見なかったことにする、って言われてもなぁ?」  目つきの悪い双眸が、俺を剣呑に見据える。  正直、こんな脅しに屈するほどメンタルは弱くないのだが、怯えたふりをしておくことにした。  怯えたふりをしておかないと、余計刺激する羽目になりそうだ。  ふと扉の隙間から、怖がるような表情の館野が見えた。  衣服は乱暴にはだけられていて、手は後ろで縛られていた。  これは、ほぼ間違いなくレイプだろう。  永島は不意に、面白いことを思いついたように意地悪い笑みを浮かべた。  そして「来い」と教室の中に引き込まれた。 「あ、えっ?」  抵抗する気が起きる前に引っ張られ、あえなく教室に引き込まれた。  そうして教室の扉を閉められ、館野の近くに投げ出されてから、遅まきながら悟る。  まさか、こいつ俺まで。 「口封じに、お前も一緒に犯してやるよ」  嫌な予感は的中した。 「は!? え、永島っ?」  どうする、どうする俺。  顔を引きつらせながら、必死に打開策を考えた。  考えて考えて、ふとずっと昔の、兄貴が高三だった時の会話を思い出す。 『俺さ、ちょっと前に桐高のすっごいガラ悪い一年にカツアゲされてさ? で、金持ってないって言ったらキレ出して、どう思考が働いたのか分かんないんだけど、ならカラダで払えよって言われて犯されそうになったの。 犯されるのは御免だと思って、何とか形勢逆転して俺が犯してやったのよ。そしたらさ、今じゃすっかり俺の犬になっちゃってさぁ』  ついでに、にこにこと楽しげに話す兄貴の顔も思い出した。  二年前も立派なクズだったな、兄貴。  その不良が今じゃ桐高のトップだっていうから驚きだ。  ……じゃなくて。  もう俺には、このクズ兄貴の方法しか残されてないんじゃなかろうか。  腐っても兄弟ーー俺も犯されるくらいだったら犯してやる方がまだましだ。

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