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9やっぱり誤魔化せない
「真空さん、服脱いで下さい」
そう命令すると、真空さんは一切躊躇する様子もなく、こくんと頷いて脱ぎ出した。
――真空さんとの行為を重ねる度、どんどん真空さんが従順になっていっているのは、気のせいではないだろう。
真空さんが服を脱いでいる間、俺は部屋の隅に置いておいた紙袋を引き寄せた。
真空さんに試したいことが沢山あったので、色々買っておいたのだ。
ちなみに、これを買うために短期バイトをした。テスト期間という理由で会わなかったにも関わらず、勉強は一切していない。
「脱げました、ご主人様……」
羞恥からか、それとも快感からか、真空さんはそう声を震わせた。
真空さんは既に勃起していて、先からはダラダラと透明な液体を流していた。
「真空さん、両手を真っ直ぐに伸ばして出して下さい。……そう、そうです」
戸惑うように真空さんが見上げてくる。俺はそれを見て、薄く笑った。
そして、紙袋からあるものを取り出し、真空さんの両手に付けた。
「は、あっ……」
それを付けられると、真空さんは気持ち良さそうに震えた。
――そう、それとは手錠である。
見ると、真空さんは座り込みながら蕩けた瞳で見上げた。口元は緩んでいた。
「嬉しいですか? しっかり拘束されて」
真空さんはこくんと頷いた。
「ずっと、手錠をかけられてみたかったから」
顔を真っ赤にして、真空さんはそう呟いた。
それがどうしようもなく可愛く思えて、俺は気付けば強引に舌を絡めていた。
「んんっ……んうぅっ……んふぅ……」
初めは驚いた様子だった真空さんも、少し経つとビクビクと震え、息継ぎの間に甘い吐息を漏らした。
歯茎をなぞり、顎の裏側を舐め、ぢゅる、と淫らな音を立てて唾液を吸い込むと、真空さんは徐々に高い声を上げ始めた。
瞳を閉じたまま肩を押してベッドの上に押し倒し、控えめに絡めようとする真空さんの舌を捕まえて執拗に苛め上げる。
貪るようなキスを続けていると、
「んぅぅッ――!」
不意に真空さんはビクン、と大きく震えた。
口を離して目を開けると、真空さんは蕩け切った瞳で俺を見つめ返した。
真空さんの腹には白濁がかかっていた。
「真空さん、今イキましたよね?」
問うと、真空さんは耳を赤くして頷いた。キスでイクなんて可愛過ぎる。
真空さんは期待するような、被虐欲に満ちた視線を俺に向けた。
「そんなに期待しなくても、たっぷり苛めてあげますよ」
「ありがとう、ごさいますっ……」
真空さんは陶然とした色を浮かべた。
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