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6重なり合うトライアングル

「口封じに、お前も一緒に犯してやるよ」  止めて、と言おうとしたが、どうしても声が出なかった。  無理やり犯すなんて僕だけで十分じゃないか、関係のない生徒を巻き込むな。  そう言いたかったが、もうレイプなんてされたくない、自分がされなくて済むならそれでもいい、と思う自分もどこかにいた。 「は!? え、永島っ?」  焦ったように言うその生徒。顔は引きつっていて、そんな彼を助けられない申し訳なさで僕は胸が張り裂けそうだった。  でもごめん、僕だって怖いんだ。助ける勇気なんてどこにもない。  僕は心の中で、何度も何度も謝った。  永島君は彼に覆い被さろうとしながら、嘲るように言った。 「お前、四組の明塚だろ? 近くで見たらやっぱ地味な奴だなぁ? 勃つかーー」  その時、すっと彼――明塚君の顔つきが変わった。レイプ魔を怖がる大人しい生徒から、まるで別人のように余裕しゃくしゃくな顔に。 「……ふざけたことぬかしてんじゃねぇよカス」  明塚君は永島の脛を思い切り蹴飛ばして離れ、唾を吐いた。その声色には、怖がる様子など微塵もなかった。 「……は?」  永島君は呆気にとられたように動きを止めた。  僕だって理解が及ばない。だって、彼はそんなことを言うような人には見えなかった。  明塚君はその隙を逃さずに永島君を床に押し倒し、動く隙も与えずに永島君のズボンを下ろし、低く囁いた。 「お前なんかに犯されるくらいだったら、俺がお前をオナホにしてやるよ、永島」  その声に背筋が粟立った。何をされるか分からない得体の知れない恐怖と、逆らえない静かな冷たい圧力がその声にはあった。  永島君は戦慄したように身を強張らせ、曖昧な笑みを浮かべた。 「は? 何言ってんのお前? な、何か、キャラ違くね? え?」  明塚君はにやりと笑い、永島君の耳元で何かをそっと囁いた。さっきまでの明塚君とはまるで別人だ。 「ひっ……」  永島君はそれを聞いて喉の奥でそう呻いたが、明塚君は意に介さずに下着を下ろした。  そして明塚君は、両手を思い切り抑えつけながら、既に勃っていた肉棒を軽く扱いた。  僕はその様子を見て、違和感を感じた。何だか、すごく手慣れている。  こういう時どう行動すればいいのかも、どう扱けばイイのかも、しっかり分かっているような、そんな言動に感じた。  外見とは正反対だ。 「てめっ……はな、せよっ……クソがぁっ……う、くっ……」  怒りを滲ませた声で、低く呻きながら、永島君は明塚君を睨んだ。  身が竦むほど睨まれているのにも関わらず、明塚君は動じる様子も見せない。どころか、 「っはは! 永島ぁ、包茎でしかも小せえな? そのヤンキー面で短小包茎とか、何のギャグだよ」  などとねぶるように言ってのけた。

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