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7重なり合うトライアングル

 明塚君が扱くスピードを上げると、驚いたことに永島君の悪態の中に裏返った声が混じってきた。 「あっ、待て明塚っ……早っ……!?」 「あ? 気持ち良い訳?」  明塚君は嘲笑うようにくすりと笑った。その嗜虐的な声に、何故だか僕まで背筋が震えた。 「んな訳っ、ねぇだろ、んっ、クソがぁぁ……っ!」  しかし言葉とは裏腹に、永島君のソレはどんどん質量を増していった。  信じられなかった。僕を身勝手に犯していた永島君が、真面目そうな明塚君にすっかり翻弄されているのが。  目が離せない。あの永島君が乱れているのが信じられなかったという理由もあるが、何だか永島君を見る明塚君の目に、囚われてしまいそうな感覚に陥ったからだ。 「はーん、気持ちよくねぇの? じゃあ何でどんどん勃ってきてんの?」 「っ、れはっ……ちげえ、って」  明塚君が言葉で嬲ると、永島君は顔を真っ赤にしながらも殺意の込もった視線を向けた。 「はぁっ……あ、くっ……覚えてろっ……いつか、ぜってえっ……んぅっ……」 「いつかぜってえーー仕返ししてやる、か? ……しっかし、嫌そうなこと言う割には気持ちよさそうな顔してんな? 感じてるだろ、お前」  明塚君は冷たくくすりと笑った。永島君は今にも噛みつきそうな顔に変わったが、どこか期待するような色も垣間見えた。  しかし明塚君は突然、冷めた表情になって扱くのを止めた。 「あ、え?」 と、永島君はきょとんとした顔になった。 「止めた。お前ばっか気持ち良くなっても俺が楽しくないし」  言いながら、明塚君はバッグを引き寄せ、ゴムを取り出した。――何で彼のバッグには、当然のようにコンドームが入っているのか。まさか本当に、慣れているのだろうか。 「え、明塚、お前まさかっ……」  何かを察したように体を強張らせる永島君を、明塚君は鼻で笑った。 「ちげえよ。今俺さ、溜まってねぇし。それにお前じゃやっぱ勃たねぇわ」  明塚君はそう生々しいことを言ってから、永島君の耳元で何かを言った。  明塚君が口元を吊り上げると、永島君はすっかり怯えたような色を浮かべた。 「どれにしよっかなー……、ああこれでいいか、あんま使わないペンだし」  言いながら明塚君は、筆箱からボールペンを取り出し、それにゴムを取り付けた。  そして、指で永島君の鈴口を思いっ切り開いた。 「いっ……!?」  痛み故か、目を白黒させた永島君。尿道口なんて思い切り開いて、明塚君は何をする気なんだろうか。 「入るかなー……ま、頑張れば入るか。ここから精液出てるもんな」  ――まさか、明塚君は。 「おまっ、まさかそこにそのボールペンを……っ!?」  僕が思ったことを永島君が言うと、明塚君は表情を変えずに 「そのつもりだけど?」  と肯定した。  さすがに、ぞっとした。痛いだけじゃなくて、下手をすれば使い物にならなくなるかもしれない。なのに、明塚君は表情すら変えなかったのだ。  途端に永島君は顔を青ざめさせた。 「ひぃっ……そ、そんなもんそこに入れるとか、お前頭おかしいだろっ……!?」  明塚君はしかし、鼻で笑ってこう答えた。 「レイプ魔にはこれくらい激しいの がちょうどいいだろ」 「は!? え、嘘だろ、明塚本当にっ……ああああごめん! 犯そうとしたのは謝るっ! 謝るから助けてぇっ!」  確かに明塚君は怖かった。  でもそれよりもずっと強く、無様に怖がる永島君の姿を見て、すかっとしてしまった。今まで溜まりに溜まった苦痛、屈辱が痛快なほどに消えていくように。 「本当ごめんって! ごめんなさいいいっ! 許して! 頼むから許してえええっ!」  すっかり歯の根が合わなくなった永島君を見て、明塚君は楽しそうににやにやしながら、ゆっくりと焦らすようにボールペンを近づけた。

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