78 / 373
8重なり合うトライアングル
「嫌だろ? 怖いだろ? 止めてほしいだろ?」
明塚君がにやりと笑いながら言うと、永島君はがくがくと必死に何度も頷いた。
すると明塚君は永島君の頭を鷲掴みにして顔を近づけ、凄むように言った。
「分かるか? お前が今こいつにやったレイプってのはそういうことなんだよ。分かったら館野に謝れ」
何で、今僕の名前が。
「ひぃっ……」
目に涙を浮かべながら、すっかり怯えきった声を上げる永島君。
「わっ……悪かった、館野!」
思わず耳を疑った。今まで永島君は、謝るどころか悪びれる様子すら見せなかったから。
しかし明塚君は、それで良しとはしなかった。
「違うだろ? 土下座して『俺みたいな万年発情期の犬が、おこがましくも強姦してしまい申し訳ございませんでした』だろ?」
そして立ち上がり、永島君の頭をぐりっと踏みつけた。その踏みつけ方には容赦がなかった。
永島君はさすがに戸惑ったように言葉を止めた。そりゃそうだ、自尊心の高い永島君が、そんなことを言うはずがない。
「なに? ペン入れて欲しいの?」
しかし明塚君がわざとらしく聞くと、ビクンと震え、小さな声でそれを言った。
明塚君は座り込んだ永島君のおとがいを上履きで持ち上げ、嗜虐的に言った。
「聞こえねえよ? ちゃんと大きな声で言え」
永島君は裏返った声を震わせながら、土下座をしてこう言い切った。
「おっ……俺みたいな万年発情期の犬がっ、おこがましくも強姦してしまいぃっ、申し訳ございませんでしたあぁっ!」
「えっ……? その、えっと……」
目の前にいるのは、あの永島君だろうか。半年くらい前からずっと、僕のことを自分勝手に呼び出しては力尽くで犯していた、あの。
理解が追いつかなかった。それでも状況は、僕を置いてどんどんと進んでく。
「六十点だな」
明塚君はしゃがみ込み、永島君の胸ぐらを掴み上げて脅した。
「分かってるな? またレイプなんてクソみたいな真似したら、今度こそ尿道にペンを突っ込んでやる」
「ひぃぃっ、わっ、分かってますぅっ、すみませんんんっ!」
「分かったならさっさと失せろ」
明塚君がそう言うと、永島君は恐怖にがくがくと震えながら、急いでズボンを上げて荷物を引っ掴み、去っていった。
ともだちにシェアしよう!