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2好きって言うだけ
ふと目を覚ますと、時計は午後三時半を指していた。昼代わりのゼリー飲料を流し込んでから、しばらく寝てしまっていたらしい。
風邪をひいてから随分と自堕落な生活をしている、と思った。でもそのおかげで、五日ほどで熱も随分下がり、喉の痛みも目の痒みも引いた。
「平太、入るぞ」
ノックと共にそう音が聞こえて、扉が開く。向こう側には、真空さんがいた。
真空さんは悪用はしないだろうし、俺は風邪をひいているので不便だし、と思い合鍵を渡してあった。だから、真空さんは学校帰り、毎日のように看病に来てくれる。
真空さんは荷物を置くと、ベッドの隣の床に座った。俺がベッドに腰掛けると、俺の額に手を当て、微笑んだ。
「熱、随分下がったな。目も充血してない。喉は? 痛くないか」
頷くと、よかった、と真空さんは笑った。
「でも念のため、今週末もちゃんと寝ておけ。そしたら多分、月曜から学校に行ける」
俺はほっとして、そうですか、と言いつつ真空さんの顔をじっと見つめた。真空さんはそれに気が付くと、少し居心地が悪そうに身じろぎして僅かに眉を寄せた。
「……どうした」
「真空さんって今正直、溜まってますよね?」
「何がだ」とさらに疑問げに眉を寄せる真空さん。
「性欲が」そう微笑んでみせると、真空さんの顔は一気に赤くなった。図星だったようだ。
「気付いてないと思います? 真空さん、俺の看病しながら時々勃たせてたじゃないですか」
真空さんはさらに赤くなり「その、ヌく暇がなくて……」と口ごもった。俺はそれに追い打ちをかけるように、重ねた。
「何考えてたんですか?」
真空さんは俯いて、股間の辺りをさり気なく腕で隠した。俺がそれに気付かないとでも思っているんだろうか。
「……平太の身の回りの世話を色々してて、尽くす感覚が良いなと思って、その」
真空さんは恥じるように、さらに俯く。
「一緒に生活したら、こんな感じなのかと思って、それで」
俺は黙って真空さんを見つめ続けた。その視線を感じているのだろう、真空さんの顔は真っ赤だった。
「ま、毎朝、平太の……下半身の世話も、させてもらえたらとか、考え出したら止まらなくなって、ええと……すみません、でした」
言葉が尻すぼみに消えていく。それとは裏腹に、息はどんどん上がっていった。俺の視線から逃げるように、真空さんは真っ赤な顔を背けた。
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