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9好きって言うだけ
「指、挿れていいか」
「いちいち確認すんなって、何回言ったら分かるんだよ、馬鹿」
千紘は優しくするためか、俺に何度も確認してくる。本当に焦れったい。
千紘が頷いて、ローションをゆっくりと指を挿れた。
「っ、ああっ……」
挿れられると、圧迫感をひどく感じた。ゆっくりと抜き挿しをされると、苦しいほどの違和感が俺を襲う。
「きつい?」
俺の表情から察したか、不安そうに千紘が尋ねる。俺は何とか笑ってみせた。
「これくらい……大丈夫、だって。不安なら、さっさとっ……前立腺、見つけてよ……」
千紘は「俺慣れてねえんだよなあ……」と弱ったような顔になった。俺は、知ってる、と答えた。
「多分……指を、半分くらい、挿れたとこに……ちょっと、膨らんだとこ、あると思うん、だけど」
「それが前立腺?」
頷くと、分かった、と千紘は頷き返した。本当に慣れていないんだと思って、何だか愛おしく感じた。
千紘がたどたどしい手つきながらも、探るように抜き挿しする。少しずつ違和感に慣れてきたけれど、やっぱり少し苦しいままだった。
しかし、千紘の指がある部分に掠めた時じんとした感覚が走った。今までの違和感とは別物だった。
「……前立腺?」
「……多分」
問うように俺を見た千紘に首肯すると、千紘は優しく弄り出した。
「んっ……んんんぅ……」
奥の方がむず痒い感覚になる。体がだんだん火照ってくるのを感じた。
「大丈夫?」
大丈夫、と何とか答えると、千紘は俺の耳元に顔を寄せ、囁いた。
「気持ち良い?」
耳の辺りから、弱い快感が波のように伝わった気がした。体がじんと痺れる。
「誠人、すっげえエロい顔してるから」
千紘の声は色っぽく掠れていた。頰がかっと熱くなる。
「一人前に、煽ってんじゃ、ねーよ馬鹿ぁ……っ」
千紘の手つきがだんだん強くなる。体の奥から沸き起こるような、じんじんと痺れる感覚が止まらない。
「はぁぁ……何かぁ、体、じんじんするの、止まんなっ……」
吐息交じりにそんな声が漏れる。自分の口から出たというのに、あまりに色っぽい響きで驚いた。
「誠人、可愛い……指、もう一本増やすぞ」
昂ぶったような声で千紘が言う。それと同時に、ゆっくりと二本同時に挿れられる。圧迫感が強くなるが、二本とも前立腺に触れ、さっきよりも強いじんと痺れる感覚がした。
体がどんどんと火照っていく。痺れるような快感が強くなっていった。
「くっ……う、ぅうんっ……ふぅっ……」
耳元で荒い吐息が聞こえる。それにつられて、俺の心臓の鼓動まで速くなっていく。
「なぁ……もう無理、挿れていい?」
切羽詰まったような千紘の声。千紘のは、確かにしっかり勃っていて苦しそうだった。
俺が頷くと、千紘はゆっくりと挿れ始めた。
指とは比べ物にならないくらい大きくて硬いものが入ってくる感覚に、思わず「いっ……」と声を上げてしまう。
「誠人、力抜けよ。ちゃんと息吸って」
辛そうに眉を寄せて、千紘が囁いた。その台詞は、俺はいつも言っている側なのに、少しおかしい。
そんな思いも、奥まで挿入されたら吹っ飛んだ。
「ん、ぐっ……」
そこから感じる圧迫感に、俺は歯を食いしばった。力抜けよ、と言われても、到底無理だと思った。
「っ、ひぃ、っん……」
千紘のが前立腺を掠ったのか、痺れるような快感がした。さらに奥まで挿れられると、圧迫感すら快感に変わっていった。
こんな感覚は初めてで、俺が俺でなくなるような気がした。
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