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3心も体も縛り付けて

「……気持ち悪」  平太は低く吐き捨てると、俺の股間を勢いよく踏み付けた。 「お、ふぅぅっ……!」  意図せず高い声を上げてしまい、顔が熱くなる。  平太は俺の顎に手をかけ、くっと持ち上げると、口元を歪めた。その嗜虐的な笑みに、蕩けてしまう。 「情けない顔ですね。発情してる雌とそう大差ない顔してますよ」  呟いてから、ああ違うか、と平太はひとりごちた。そして、俺の頰をすっと撫でると、いたぶるように囁いた。 「……そういえば俺の雌犬だったなぁ、お前」  ゾクン、と体が自然に跳ねてしまうほどの快感が俺を襲う。……平太のその目に、表情に、声に、何もかも溶かされてしまいそうだ。 「――続き、早くしてください」  急かすように言われ、俺はまた口を動かし始めた。時々悪戯に平太が俺の股間を踏みつけるものだから、思わず嬌声を上げてしまう。  満足げな平太だったが、ふと何かに気付いたように、俺の顔に自分の顔を寄せて囁いた。 「いいこと教えてあげましょうか。……多分、今このドアのすぐ向こうに人がいますよ」  驚いて、思わずドアの方に顔をやると、見計らったようなタイミングで平太は俺の後頭部を掴んで奥へと押し込んだ。 「ぐぅ、っん――」  苦しさと快感が混ざったような声が漏れる。それを聞いて平太は満足げに、ふっと笑いを零した。  続きを早くしろと平太が視線で促すので、俺は再開した。極力声を抑えようとしたが、それを察した平太が、面白がるように股間をぐりぐりと踏みにじってきた。 「ん、ん、んん……ぅ」  いつもよりずっと声は抑えられた方だが、それでも声はどうしても漏れてしまう。  外に人がいると分かっているのに――そんな焦燥とは裏腹に、俺の陰茎は痛いくらいに勃起してしまっていた。欲を吐き出したくて堪らない。ついにはそれしか考えられなくなっていた。  平太は楽しくて仕方がないといった調子で、鼻で笑った。 「本当ド淫乱ですね」  そして平太は、思い切り股間を踏みにじった。背筋が反ってしまい、「ぅんんっ……」と高い声を上げてしまう。その快感に、更に射精欲が高まる。 「あー……無理だ。イク……ッ」  一瞬、平太がぎゅっと眉を寄せた。かと思うと、俺の顔をえずきそうなほど奥に押し込み、――どろっとした熱いものが、喉の奥に流し込まれた。雄の臭いが鼻に抜ける。 「んんんんんッ――!」  体が思い切り跳ね、嬌声を上げてしまう。声を抑えるだとか、そんなことを考える余裕がなくなるほどの快楽が、俺を貫く。  溜まった精を吐き出してしまいたい。その欲が高まって高まって、ついには爆発してしまったように、イケないはずなのに、射精感が俺を苛む。それは長く続いて、体が震えるのが抑えられなかった。 「あ、あー……」  全身を甘い快楽が支配してしまったかのようだ。体を上手く動かせず、口をきくのも上手くできない。半開きになった口から涎が垂れるのを感じる。  平太が萎えた陰茎を俺の口から取り出してしまい、俺を見下ろして呟いた。 「――空イキしちゃったみたいですね、真空さん」  それから平太はしゃがみ込み、俺の前髪を上げて、額にキスを落として囁いた。 「そういう淫乱なところ、可愛くて堪りませんね」

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