182 / 373

8気遣いの空回り

「ん……は、ふぅ……」  必死に声を抑えようとしながら舐める真空さん。だが、抑えようとすればするほど熱い吐息が口の端から漏れて、余計に色気を増していた。 「あー、いいですね……ほらもっと、奥まで……」  言いながらゆっくりと後頭部を押すと真空さんは「ん、んん……!」と苦しさと気持ち良さの間のような声を出した。  切なげに眉を寄せる真空さんは、くらっとするほどに色気がある。 「真空さん……そのエロい顔も声も、全部動画として残りますからね。存分に醜態を晒してください」  そう低く囁くと、真空さんはビクッと体を震わせた。大方、今の声にも感じてしまったのだろう。  上目遣いの蕩けた瞳が俺を見る。その瞳は官能的な期待で溢れていた。 「はあぁ、んっんん……ふぅ、んっ……」  しばらくその状態で舐めさせていると、興奮が抑えきれなくなったのか、真空さんは屹立したソレを服越しから床に擦り付けながら、夢中で舐めしゃぶり始めた。快感を得るのに必死な様子が見てとれる。 「ご主人様の許可も得ずに勝手に床オナを始めちゃうんですか? 全く、困った子ですね」  俺は冷笑混じりに髪を弄びながら、ちらりと名元を見た。名元は呆気にとられたような顔で口を半開きにしながら俺たちを見ていた。だけどきちんとスマホは構えていて、下半身は膨らんでいた。  名元を見ながらふっと笑ってやると、名元は顔を赤くした。 「ん……すげえイイ……もう出しますよ、真空さん」 「ん、ふぅっん、んんぅ……はふっ、んっ……」  体を震わせながら、ガクガクと頷く真空さん。その瞳は精液が欲しくて堪らないと訴えかけていた。  俺はぐっと頭を押し付け、喉の奥に突っ込んで、射精した。真空さんも、「んんんんっ――」と喘ぎ声を上げて果てた。  真空さんが躊躇いもなく全て飲み込んで口を離したのを確認してから、真空さんに尋ねた。 「今のでイッちゃいました?」 「ごめん、なさい……はぁんん……ご主人様の、おちんぽ、おいしかったです……」  上ずった声で、命令してもいないのにそう答える真空さん。  真空さんは日に日に淫乱さを増していく。今じゃ、この人以上にエロい人はいないんじゃないかとすら思えるほど。 「ははっ。――もうすっかり俺の飼い犬ですね、真空さん。ほら、言ってみてくださいよ、俺はあなたの飼い犬ですって」  笑い飛ばしてから、耳元で笑い混じりにそう囁いた。真空さんは「はあぁ……」と甘い吐息を漏らした。 「俺は、あなたの、飼い犬ですぅ……ご主人様ぁ……」  快楽に溶けてしまったような顔で、真空さんは俺を見上げた。 「ふは、学園最強の男が聞いて呆れる。情けないですね真空さん。名元もドン引きしてますよ、ほら」  真空さんの顔を無理やり名元の方に向ける。名元は呆然とした表情で、反応に困っているようだった。  真空さんはそんな名元の表情にすら、興奮してしまったのだろう。喘ぎ声にも似た吐息が聞こえた。 「気持ち悪いですね、ドン引きされて悦ぶなんて。でも、これでも多くの生徒から尊敬されてる憧れの存在なんですよね、真空さんは」それから、嘲るような口調で囁いた。「せいぜい真空さんには、俺の便利な性処理道具って立場がお似合いですよ」  ビクンッと真空さんは体を震わせた。便利な性処理道具、と軽んじられたことに感じてしまったのだろう。

ともだちにシェアしよう!