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9気遣いの空回り

「ほら、使ってあげますから立ってください。それから、自分の席に上半身を伏せてこっちに尻を向けて……そうです」  真空さんは言われた通りの格好になった。俺はその格好の真空さんの上半身を机に手で押さえつけたので、もう真空さんは身動きが取れない。  真空さんのズボンと下着を下ろしていると、真空さんの速くなった呼吸が聞こえた。無理やり真空さんの顔をこっちに向けさせると、案の定期待でとろとろに溶けた表情をしていた。 「早く犯されたくて堪らない、って顔してますね」  そう耳元で嘲ると、「はぁ……ん」と震えた吐息を出した。 「ほら、舐めて」と指を差し出すと、真空さんは素直にそれを口に含んだ。奥まで突っ込むと、むせながらも指を舐めた。  名元は真空さんに対してどんな印象を持っていたのだろう。大方、何でもできるクールな完璧超人といったところだろうか。そんな名元は今の真空さんに対してどう感じているのか。幻滅しただろうか。それならそれで好都合だ。  真空さんは多分気付いていないが、名元は真空さんに憧れている。もちろん、憧れたくなる気持ちはよく分かるし、そういう人一人一人に対して嫉妬していたらキリがない。だからといって、全て平然とスルーできるほど、俺は大人じゃない。  心の奥底では確かに、真空さんが痴態を晒して名元が幻滅してしまえばいいと思っている。我ながら子供っぽいとは思う。  真空さんは熱に浮かされたように指を舐め続けた。この様子じゃ恐らく、名元がいることすら頭の中から吹っ飛んでいるに違いない。 「もういいですよ、夢中になって舐め過ぎです。口の中まで性感帯ですからね、真空さん」  冷笑混じりに言うと、真空さんはとろんとした目で頷いた。 「挿れますよ」  そう囁いて、一気に三本挿れると、真空さんは「ひっ、あぁ……!」と体を震わせた。  ナカはきゅうっときついくらいに締め付けてきた。どれだけ欲しくて堪らなかったのだろうか。 「ははっ、指だけでこんなに悦ぶなんて、本当に淫乱な雌犬ですね」 「淫乱な、雌犬っ、で……ごめんなさいぃ……」  真空さんの声は上ずっていた。軽くかき混ぜると、甘い声が漏れた。そして前立腺を弄ると、真空さんはガクガクと体を震わせた。 「あっあ……きもちいっ……そこ、っ、すごいぃ……んあぁっ……」 「欲しいですか? 俺の」  真空さんは何度も頷いた。そして振り向いて俺と目を合わせ、陶然とした顔で言った。 「犯して、くださいっ……ご主人様ぁ」 「よく言えました」  そう言って頭を撫でてから、俺は陰茎を真空さんの穴にあてがって少し挿れた。一度イッたにも関わらず陰茎は、真空さんの淫猥さに我慢できずまたしっかり硬くなっていた。  真空さんはビクンと体を震わせ「おっきい……」と掠れた声で呟いた。ソレを奥まで一気に挿入すると、真空さんは「ああぁあっ――」と喘ぎ声を上げ、果ててしまった。  達したナカはぎゅうぎゅうと締め付けてきてこちらが持っていかれそうだ。それぐらい気持ちいい。 「相変わらず挿れただけでイキますね。……本当に、堪え性のないド淫乱ですね」  真空さんを嘲笑しつつ罵倒すると、真空さんは息も絶え絶えな様子でそれでも「ごめん、なさいぃ……」と謝った。  そのまま腰を振ると、真空さんは高い嬌声を上げながら必死に快楽にしがみついた。きっとその頭の中は、快楽以外のことが吹っ飛んでしまっている。  絡み付いてくると錯覚するほどにきつい締めつけの快感が堪らない。ゾクゾクする。頭がおかしくなりそうだ。 「あ、はあぁっ……あ、あ、あんん……! ごしゅじ、さま、あんっ……や、イ、っく……んんぅ、イッちゃい、ますぅっ……!」  そんな声を出す真空さんがあまりにも可愛くて、その声の色気にくらくらする。俺は気付けば、笑いをこぼしていた。 「あっははは……どうしようも、ないですね本当……ほら、情けない姿晒して、イッちまえ」  耳元で低く嗜虐的に囁くと、真空さんは大げさなくらいに背を震わせ、達した。凄まじい締め付けに耐えられず、俺も中に精液を思い切りぶち込んだ。  真空さんの息が落ち着いてきた頃を見計らって抜くと、真空さんは僅かに震えた。俺は下着とズボンを履かせ、上半身うつ伏せの真空さんを立たせた。  すると真空さんはぎゅっと眉を寄せ「う、あ」と声を上げた。手首を縛っていたネクタイを外して締め直しながら、俺は問いかけた。 「どうしました?」 「精液、が、垂れてきて」 「感じちゃいました?」と聞くと、真空さんは顔を赤くした。そんな真空さんが可愛くて、俺は耳元で囁いた。 「続きは後で」  そして俺は唖然としている名元の手からスマホを半ば奪い取るように受け取り、にこりと笑ってみせた。 「動画、ありがとな。色々使えそう。んじゃ、これでお互い何もなかったことにしようぜ」 「あ……うん……」  心ここに在らずといった様子で頷く名元だったが、下半身はしっかりと自己を主張していた。少しからかってやろうと思い「なあソコ、きつそうだな」と肩に手をかけながらソレに目を向けた。 「……え?」  名元は俺が何を言おうとしているのか検討がつかないように首をかしげた。俺はそんな名元を、くすりと笑ってやった。 「なに、気付いてねえの? ……手伝ってくれたし名元には特別に、今の俺たちので抜くの、許可してやるよ」  ようやく思い当たったようで、名元は顔を赤くした。  名元の肩を一度軽く叩くと、俺はひらっと手を振って教室を後にした。真空さんも赤い顔で俯きがちに着いてきた。  休日に体育祭の練習も舞台祭の練習も文化祭の準備もなくて、幸運だった。次の日の真空さんは、昼頃まで使い物にならなかったから。

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