253 / 373

9これからのこと

「あー……いい顔してますね。もっと苛めてあげたくなる」  平太は俺の頰を掴んで、恍惚とした笑顔を見せた。それから、「欲しいですか?」と問いかけた。何が、なんて、聞かなくても分かる。頷くと、平太は囁いた。 「部屋、行きましょうか」  平太は部屋に入るなり、俺をベッドの上に押し倒してきた。平太の端正な顔が至近距離に迫ってくる。やっぱり、かっこいい。 「本当は……趣向を変えてゆっくり丁寧にやろうと思ってたんです。でも、そんな気遣い必要ないですね」平太は薄く冷笑を浮かべた。「真空さんはドMの変態だから、そんなことされたら達せなくなりますよね?」  言いながら、俺の上のパジャマをまくり、何の前置きもせずにいきなり乳首をつねってきた。 「い、ッあん……」  つねられた痛みに背をビクンと震わせると、意を得たとばかりに平太は笑った。 「痛いのが好きですもんね、真空さんは」  平太は、愛撫というよりも痛がらせるための刺激、くらいの強さで、何度も乳首をつねったり噛んだりしてきた。腰が砕けそうな快感が襲う。 「あ、あんんッ……だめ、っやァん……」 「随分乳首の感度が良くなりましたね。自分で弄ってました?」  ふと気付いたように平太が言う。恥ずかしく思いつつも頷くと、平太はへえ、と面白がるような反応をした。それから俺の足を割り開いて、穴をつうっと撫でて「じゃあここも、多分感度上がってますよね」と囁いた。ひくん、と疼いてしまう。  それから平太は、おもむろに自分の肉棒を取り出して、俺を試すように問いかけた。 「欲しいですか?」  平太のを見た途端、後ろが抑えがたいほどに疼き出した。平太のそれは、その精力を表すように大きく反り返っていた。挿れてほしい、早く挿れてめちゃくちゃに犯して欲しい――そんな欲望が俺を駆り立てた。俺の目は、とろんと蕩けていたかもしれない。 「ほしいです……っごしゅじん、さまぁ……みだらな、めすいぬにっ……せーえき、くださいっ……いっぱい、おかしてくださいっ……」  興奮が高まって高まって、おねだりが、舌ったらずになってしまった。だけどそれを恥ずかしく思う余裕もなかった。それくらい、頭の中はそれでいっぱいだった。 「っ、よく言えました……っ」  平太は嗜虐的な熱のこもった声色で言いながら、俺の陰茎の根元を掴んで、解しもせずにいきなり挿れてきた。解さなかったせいか無理やり力技で挿れている感じがして、むしろいつもより感じてしまった。平太のが俺の中を無理やり挿入っていく感覚が、堪らない。 「んあ、あ、っあああぁッ、んんンっ……」  ごり、といいところが擦れる。そのたびに、大げさなほどに体が跳ねてしまう。快感が苦しいほどに俺に襲いかかる。  そのまま、俺の事情には一切構わずに平太は激しく腰を打ち付けてきた。平太のがいいところに擦れる。暴力的なまでの快感をどうにか堪えようと、手でシーツを必死に掴んでしまう。気持ちいい。 「はぁ、んんっ……あ、あぅ、んっ……はぁ、っごしゅじ、さま……きもちい……きもちいれすッ……もう……あっ、もぅ、イッちゃいそ……ひぁ、あンっ……」  限界はすぐにきた。陰茎は張り詰めていて、今にでも吐き出してしまいそうになっていた。平太に思い切り犯されている、それが堪らなく快感で、おかしくなってしまいそうだ。  平太の顔を見上げた。平太も限界なのかもしれない。抑えられない興奮と快楽に口元を吊り上げながら、少し苦しそうに眉を寄せていた。蕩けてしまうほどに色気のある笑顔だった。  平太はその笑顔のまま、俺の耳に口を寄せた。それから―― 「この淫乱雌犬が」  軽蔑するように囁き、俺の耳を思い切りガリッと噛んだ。一瞬、真っ白になった。それから少し遅れて、快感が凄まじい勢いで俺を襲った。

ともだちにシェアしよう!