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10これからのこと

 達してしまった。快感で体が蕩けてしまったみたいだ。達した余韻から体が意思に反してビクビクと震えるばかりで、まともに体が動かせない。まともに物事も考えられない。  俺が達したのに合わせたのか、平太も同時に達した。平太のが脈打っているのを感じる。中に熱いものが広がった。平太に種付けされた――そう思うと、快楽と幸福感でいっぱいになった。 「耳を噛まれてイクなんて……ド変態ですね」  耳元で低く囁かれる。そんな色気のある声で囁かれたら――達したばかりなのに「はぁ……ん」と甘い吐息を漏らしてしまった。  そんな声を漏らしたら、平太の陰茎がどんどんと質量を増した。 「あ……また、おちんぽ、かたくなって……」  声に欲情されたのかもしれない、と考えると、欲情されたことに興奮してしまい、息を荒げてしまった。  平太としていると、性欲が底無しになっていく。一回なんかじゃ満たされない。もっといっぱい中を精液で満たして、気を失うくらいに何度もなんども突いてほしい。達したばかりだというのに、また精液がほしくて、腰を揺らしてしまう。  それに気付いたのか、弄ぶように俺の髪を触り、平太は尋ねた。 「もっと犯してほしいんですか」 「はぅ……はい……きをうしなう、くらいっ……おちんぽ、で、ついてほしい、れすぅ……」  平太はくすりと笑うと、ずるっと腰を引き抜き、勢いよく腰を打ち付けた。 「あぅんっ……!」  電流のような快感が走って、背を仰け反らせてしまう。そんな俺の顎を掴むと、平太はぞっとするほど嗜虐的な熱を瞳に湛え、囁いた。 「……容赦はしないですよ」 「あん……はいぃ……」 「……起きました?」  目の前に平太の顔があった。ぼうっとそれを眺めてから、ああ朝か、と気付いた。その後、本当に気を失うまでしてしまったのだと分かった。  平太は隣に寝ながらにこにこと俺の顔を眺めていた。 「……今、何時だ」  平太は枕元から携帯を持ってくると、画面を表示させて俺に見せた。俺は信じられなくて、えっ、と聞き返してしまった。そこには、十時半と表示されていた。 「多分、真空さんがこんなに遅く起きたのって初めてじゃないですか?」 「ああ。昼近くに起きたことなんて、今まで一度もなかった……」 「でもまあ、それも仕方ないくらい昨日は……昨日何回したか、記憶が曖昧なんじゃないですか?」  思い返すが、確かに途中から記憶が曖昧だ。それくらい、何度も犯されたのだと思うと、恥ずかしくて一気に顔が火照った。 「今日くらいは、だらっと寝てても構わないんじゃないですか? このまままだしばらく寝て、それから昼を食べて、レンタルビデオ屋にでも行きましょうよ。真空さんおすすめの映画を家で一本見ません?」  平太はそう優しく微笑んだ。そんなにゆっくりと時間を過ごしたことはない。無駄だと感じてしまうからだ。だけど平太の言う通り、たまには構わないかと思った。 「……じゃあ、ゲームセンターも行ってみたい。平太がゲームしている姿を見てみたい」 「ええ……ゲームしてる時は口が悪くなるから、あんまり他人の前でやりたくないんですよね……」  苦い顔になる平太が何だか面白くて、俺は思わず笑ってしまった。  これからは、もっと平太のことを知っていきたい。だから、口の悪い姿も見てみたい――そう伝えると、仕方ないですね、と平太は苦笑した。それから二人で顔を見合わせて笑った。

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