8 / 373
2ご奉仕させてくれないか
「……あ、かつかっ……」
はあはあと熱い吐息を吐きながら、先輩が蕩けた目で俺を見る。呂律があまり回っておらず、顔も紅潮していた。
先輩は、下半身には何も纏っておらず、何かに馬乗りになっているかのような体勢だった。そして、後ろの穴には深々と何かが入っていた。 その何かはよく見ると、陰茎によく似た形だった。
それを見たとき、俺は全て理解した。ーー先輩、ディルドを使って騎乗位でアナニーしてたのか。それでもう、既にできあがってたんだろう。
無様で恥ずかしい先輩の姿を見ると、何かが蠢くような、脈打つような、あの衝動に襲われた。
まただ。この衝動に襲われるたび、おかしくなってしまう。それと、この感覚に襲われるたび、無様な姿を俺にだけ晒す先輩が、堪らなく可愛く思えてしまう。
その衝動に突き動かされるように俺は、先輩にこう聞いた。
「先輩、何してるんですか?」
先輩は目を潤ませて、答えた。
「あっ……アナルにディルド、挿れてぇ、オナってたっ……」
俺はしゃがみ込んで先輩と目を合わせ、更に聞いた。
「気持ち良いんですか?」
「あぅっ……すごい、気持ちいっ……」
俺がそう聞いただけで、先輩は気持ちよさそうに震え、蕩けた声で答えた。
ゾクゾクする。蕩け切った先輩の表情に、俺まで溶かされそうだ。
そして俺は、畳み掛けるように更に聞く。
「何をオカズにしてるんですか?」
先輩は、赤い顔を更に赤くし、震える声で答えた。
「昨日っ、明塚に、ふ、踏まれたこと、思い出してっ……」
「そんなに昨日の、良かったんですか?」
どくどくと高鳴る鼓動が、はっきりと聞こえるほどに興奮しているというのに、自分でも驚くほど冷えた声が出た。分からない。自分の行動がよく理解できない。
俺の冷えた声を聞いて、先輩は背中を震わせ、答えた。
「んっ……よか、ったぁっ……」
ああなんて、情けない顔だろう。ゾクッと震えが走ると共に、とある欲が抑え難いほどに沸き起こってきた。――もっと、もっと先輩の情けない顔が見たい。
そんな自分が心底理解できなかったが、気付かないふりをすることにして、欲に従うことにした。
「先輩。俺の目の前でこのまま動いてくださいよ」
口元に微笑を浮かべながら言うと、先輩は驚いたように、それかもしくは感じたように、ビクンと震えた。
「……で、でも……」
「できないんですか?」
少し待っても先輩からの答えがないので、俺はため息を吐いて踵を返した。
「ならいいです。俺帰ります」
こう言えば、先輩はこのまま見過ごすことはないだろうと思ったから。ドアに手をかけたそのとき、片手を掴まれた。
ーー思惑通り。
俺は、にやり、と笑ってしまいそうなのをにこり、に留めて、けれどあえてこう問いかけた。
「何ですか?」
先輩は顔を真っ赤にして、こう囁いた。
「……す、する、から……帰らないで、見ててくれ……」
ゾクゾクッと背筋を快感が撫でる。女みたいな先輩の顔、堪らない。
ともだちにシェアしよう!