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4そしてプロローグに至る

 先輩はいつまで経っても言い出さない。だんだん俺も怖くなってくる。  ……いや、何でもやるとは言った。言ったけど、あまりにもすごい頼みだったら断ろうかな。そもそも、俺がそこまで頑張る義理はない。 「あ……明塚、その……」  先輩の顔がどんどん赤くなっていく。そこまで恥ずかしいことって何だろう。  青姦? それとも3Pとか? それはちょっときついな。小深山先輩と一緒にやれとか、小深山先輩の前でやれとか、そういうことは精神的に無理がある。それに小深山先輩も嫌だろう。  先輩はしばらくそうしていたが、やがて俺の制服の袖を引いた。 「あ、明塚の、挿れてほしい……」  縋るような、熱を持った声で言われた。俺は思わず「え?」と問い返してしまった。すると先輩は耳まで赤くした。 「だ、だから……明塚のを、挿れて……」 「俺の……って、俺のチンコ? それを挿れてほしいんですか?」  直接的に言うと、先輩は少し顔をそらした。……それを言うだけで、ここまで照れるなんて。  はは、と笑いにも似た吐息が漏れた。愉悦に口角が上がるのが自分でもわかる。 「もう一回言ってください」  言うと、先輩は恥ずかしそうに視線を彷徨わせ、そして上目遣いで囁いた。 「明塚、頼む、挿れてくれ……っ」  かっと身体が熱くなるのを感じた。頭が沸騰しそうだ。  俺は先輩をどう思ってるんだとか、先輩は小深山先輩がいるのにどうして俺ととか、抱いたりなんかしたら後戻りできないとか、ごちゃ混ぜになった気持ちが全てどっかに行ってしまった。  抱きたい。苛めたい。もっと善がらせて、啼かせたい。そんな感情だけが頭の中を支配した。 「挿れてくださいご主人様、の間違いじゃないですか、先輩?」  俺、何言ってんだ。冷静だったならそう思っただろう。だけどそんな余裕なんて無くて、理性なんてどこに行ったか分からなかった。 「いっ……挿れて、ください……ご主人様ぁ……っ」  恍惚として言う先輩。『ご主人様』の響きが想像以上に良くて驚いた。……ちょっと、ハマってしまいそうだ。 「いい子ですね、今、抱いてあげますから……」  ゾクゾクする。声が震えているのが自分でもわかる。  制服を脱ぐのすらもどかしい。ネクタイを一気に解いて、カッターシャツもズボンも脱ぎ捨てた。 「あ……」  はっきりと分かるくらいに大きくなっているそれを見て、先輩は喉を鳴らした。そういうことを計算なしでやってしまうところが、本当にいやらしいと思う。  邪魔だ。あえてかけている分厚い度の入っていない眼鏡も、わざと伸ばしている野暮ったい前髪も。そのエロい表情をちゃんと見たい。俺は眼鏡を投げ捨てて、前髪を根元からかきあげた。  ふと見ると、先輩は目を見開いていた。どうしたんだろう、俺は何か変なことをしただろうか。 「どうしました?」 「かっこいい……」 「え?」 「……あ、ちが、なんでもな……っ」  先輩は唐突に我に返って、慌て始めた。  かっこいい? もしかして、俺の顔のことを言われたんだろうか。……これは、さすがに、煽りすぎだ。  散々やらしい姿を見せられて、どエロいおねだりをされて、しまいには「かっこいい」と呟かれる。俺の理性は、そんな状況で制御が効くようなお利口なものじゃない。  下着を脱いで、先輩の入り口にそれをあてる。それだけで先輩は体を震わせた。 「ん……おっきい……」 「……それはずるいだろ……」  ゾク、と快楽が走る。理性が切れるのが自分でも分かった。 「あ、ああぁァんンっ……!」  気づいたら根元まで無理やり一気に挿れてしまっていた。突然の衝撃に先輩は弓なりに身体を震わせ、高い嬌声を上げた。 「あー……想像以上にイイ……」  今まで必死に堪えていたせいか、腰が止まらない。するときは今まで、こんなに我を忘れることはなかったのに。  何これ。セックスってこんなに気持ちいいものだっけ? 頭が吹っ飛びそうだ。その締め付けも、接合部からする水音も、先輩がずっぷりと俺のものを呑み込むいやらしい光景も、全てが今までにないくらい俺を駆り立てる。 「あ、あぅんっ……! や、あ、ご主人様、ァ、ぁんっ……すご、い……ひぅんっ……ごしゅじ、さまぁ……!」  先輩も、理性が吹っ飛んでいるみたいだ。バカのひとつ覚えみたいに「ご主人様」と繰り返している。それがすごくクる。 「ごしゅじん、さま……っ、んんっ、おれっ……おれ、もう、ぁん……! イキそ……イッちゃうっ……!」  快楽に顔が歪む。なぜか愉快で仕方なくて、哄笑が出た。最中に笑うなんて俺完全にヤバいやつだな、なんてことに思い至る余裕もなく。 「はははっ……! 俺より先にイくのはダメですよ……お仕置きしますからね……」  先輩は何度も頷くと、縋るように「ご主人様」と繰り返し呼んだ。……エロすぎるだろ。あまりの淫らさに頭がクラクラする。 「はぁ……もう出しますよ……」 「だしてっ……おくに、いっぱい……っ!」  快感に瞳を潤ませて、上気した顔でふにゃりと笑う。きっとこれも無意識だ。……だからそういうところが、本当に。 「……ほんっと、いやらしい人ですね……!」  気づけば抽送がいっそう激しくなってしまった。先輩の声が余計エロくなる。 「あ、あぁ、っあ、ごしゅじ、さまっ……だめ、っあァ、い、イッちゃうッ……!」 「ははははっ……いいですよ、ほら、ほら……っ! ……っ、ん……」  さすがに我慢ができない。俺は思い切り突っ込んで、奥に出した。先輩は「ああぁァァ……っ!」と喘ぎ声を上げて、俺の下で達した。  ――そして、プロローグに至る。

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