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2勝手な期待と独占欲
「……先輩」
息を切らして屋上前の階段に着くと、腕を組んで壁に寄りかかり、にこりと笑った明塚がそこにいた。
「……どうしたんだ、明塚」
鍵を開け、明塚に向けドアを開けながらそう問いかけた。
明塚はそれには答えず、俺がドアを閉め終わった瞬間、俺のネクタイを犬のリードのように引っ張った。
突然のことで驚いて目をみはると、明塚は耳元で低く囁いた。
「忘れたんですか、先輩。昨日言ったこと」
低いその囁きにより、寒気にも似た快感が走った。
「……昨日、言ったこと……?」
本気で分からず、首を傾げると、大して気にした風でもない様子で明塚は呟いた。
「ま、いいんですけどね。覚えてなくてもやりますし」
明塚はネクタイを掴んだまま俺から離れーーたかと思うと、容赦なくネクタイを引っ張った。
「がっ……!?」
唐突のことで、勢い余って地面に這い蹲ってしまった。
「そうそう、その姿勢でいて下さい」
上からそう、楽しそうな声が降ってきた。
そして明塚は、俺の尻を持ち上げるように上げたかと思うと、何の予告もなしにいきなり俺のベルトを開け始めた。
「あっ……明塚っ、何を……ッ?」
焦ったように言いつつも、内心ではかなり、強引な明塚に興奮した。
明塚は上から覆い被さり、耳元でこう囁いた。
「ご主人様のすることは絶対、ですよね?」
その冷たい声に、溶かされた。
「んっ……ふぁいぃ……」
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