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二人の夜 2
「聡、ちょっといい?」
「ああ、どうぞ」
二階の聡の部屋をノックするとすぐに返事があったので、遠慮なくドアを開けた。
佳暁様以外の私室は各自で掃除することになっているが、聡には家のメンテナンスのことを相談したりすることもあるので、この部屋にも何回かは入ったことがある。
あいかわらずきちんと整頓された部屋は、なんとなく聡らしい感じがする。
聡はネットニュースか何かをチェックしていたらしくてパソコンの前にいたが、こっちを向いてくれていた。
「どうした?」
「うん……ちょっと……相談したいことがあって」
オレの歯切れが悪かったので、話が長くなりそうだと察してくれたらしい。
聡はベッドに座るようにうながしてくれた。
「あのさ、オレ……その、セックスする時、もっと佳暁様に満足してもらいたいって思うんだけど、どうしたらいいかわからなくて……。
だからこう、何かコツみたいなものがあったら教えてもらえないかなと思って」
オレがそう言うと、聡は困ったような顔になった。
「別に焦らなくても、お前はちゃんと少しずつうまくなってると思うぞ。
それに佳暁様はお前がそんなふうに考えていると知ったらお喜びになるだろうから、俺じゃなく佳暁様に直接聞いてみたらどうだ?
おそらく佳暁様は、お前に教えることもプレイの一環として楽しまれると思うが」
「う……そ、それはそうかもしれないけど、やっぱりそういうのは男のコケンに関わるというか……」
実際に下手くそなのは確かなのだから男の沽券も何もあったものじゃないのだが、そこは複雑な男心というやつなのだ。
「まあ、その気持ちはわからないでもないがな。
しかし、コツと言われてもな……。
基本的には佳暁様が感じるところを強弱つけて刺激する感じかな。
たまにポイントを外して焦らしたり、感じるところを中心に全体を大きく擦ったりするのもいいと思う。
佳暁様が感じるところはわかってるか?」
「えーっと、前立腺のところだよね?」
「そうだな。
あとは奥の方にも感じるところがあるんだが、お前だと届くかどうか微妙だから、前立腺を責めた方がいいと思う」
「あー……」
確かにオレは奥の方にも佳暁様が感じるところがあるなんて気付いてなかったから、たぶん聡の言う通り届いていないのだと思う。
自分の持ち物のあまりの貧相さに嫌になるが、長さが足りないものは仕方がないので、前立腺の方を刺激することを考えた方がいいだろう。
「しかしな……。
お前、前立腺の方もうまく責められていない気がするんだよな……」
「えっ? ほんとに?」
「ああ、たぶんな。
お前に抱かれてる時、佳暁様はちょっともどかしそうに見えるんだよ。
おそらく佳暁様は、そのもどかしい感じを楽しんでるところもあるのだと思うが」
「ええー……」
正直言って、聡の話はかなりショックだった。
うまく出来て喜んでもらえるのではなく、未熟なところを楽しまれているなんて、いくらそれで佳暁様が喜んでくれていたとしても、ちょっとつらいものがある。
「そういえばお前、佳暁様の中を指で触る機会が少なかったかもしれないな。
指で触っていると入れた時も場所がわかりやすいから、もっと積極的に指を入れてみた方がいいだろう。
佳暁様がお前のキスやフェラを気に入っておられるから、お前には前側に回ってもらうことが多かったが、今度からはもっと中をほぐす方にも回ってもらうようにしよう」
「うん、お願い」
聡が教えてくれたことで、何となくではあるが可能性が見えてきた気がした。
明日の夕方には佳暁様が帰ってくるから、夜にする時はもっと意識して佳暁様が感じるところを探してみよう。
ああ、その前に今夜のうちにネットで前立腺の位置を復習しておいた方がいいかもしれない。
そう思ってオレは、聡にお礼を言って自分の部屋に帰ろうかと思ったのだが、聡はまだ何かを考えている様子だった。
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