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決断☆

「苦しいだろ?  すぐにしてやるから」 「い、いや、自分でするから……!  それに聡、佳暁様を放ってきちゃだめだろ!」 自分の部屋に引き込むなり、オレの下半身に触れようとしてきた聡の手を振り払うと、聡はちょっと申し訳なさそうな顔になった。 「その佳暁様が行ってこいとおっしゃったんだ。  ……まあ、俺がお前のことを気にしているのが丸わかりだったからだろうが。  その代わり無理強いはするなと釘を刺されたんだが、俺としてはお前が嫌でなければさせて欲しい」 「い、いやでもその、オレ、悪いけどまだ聡のことまで考える余裕ないし……」 「とりあえず今は、恋愛感情は脇に置いておいてくれていい。  何だったら最後までしなくても、ただお前を気持ちよくするだけでもいいから」 「そんなこと言われても……」 「正直、この前は自分の欲望が先走ってしまっって、お前をあまり感じさせてやれなかったから後悔してるんだ。  この機会に名誉挽回させてくれないか」 この前聡に抱かれた時、嘘みたいに気持ちよかったのに、聡としてはあれでも十分じゃなかったんだ。 そう思うと、聡が本気を出したらどんなに気持ちいいんだろうと想像してしまって、ただでさえ痛いくらいだった前がさらに張り詰めてくるのがわかった。 それに、聡がオレを好きでいてくれる気持ちに答えられるかどうかわからないのに、こんなふうに思うのはずるいと自分でも思うけど、聡のような男にここまで求められてうれしいと感じる気持ちもある。 「……最後までしないんだったら」 その結論は我ながらずるすぎると思ったのだが、それでもそう答えた途端に聡はすごくうれしそうな表情になった。 「ありがとう」 そう言うが早いか、聡はさっさとオレの服を脱がせて、ベッドに寝かせた。 聡はごく自然にオレの唇にキスしかけたが、寸前でそれをやめて、代わりに頬にキスした。 その気遣いを申し訳ないとは思ったが、オレの方から唇にしてもいいよと言うのもおかしい気がして、結局何も言えなかった。 「これはつらそうだな……」 張り詰めたオレのものを見て聡がつぶやいた言葉に、オレは赤くなる。 けれども実際つらかったのは本当で、我慢の限界に来ていたオレは、聡に先っぽをいじられながら数回こすられただけであっけなくイッてしまった。 「ご、ごめん……」 これは男としてあまりにも情けないと思ったのだが、そんなオレの姿がむしろ聡を興奮させてしまったらしい。 「まだイケるだろ?」 そう言った聡の声はひどくつやっぽく、表情も強く男を感じさせるものになっていた。 「……ん」 思わず見とれつつもうなずくと、聡は再びオレに触れてきた。 オレが一回出したことで余裕が出来たと思ったのか、今度は下半身だけでなく、耳や乳首や脇腹など、全身の感じるところを探しては、見つけると容赦なく刺激してくる。 そんなふうに触れられることにまだあまり慣れてないオレが、感じすぎてわけがわからなくなっているうちに、聡はオレのものを口に咥えてしまった。 「あっ……ぅんっ…。  やば…出そう……離し、て……!」 聡のフェラチオはびっくりするくらいにうまくて、オレはあっという間に音を上げる。 けれども聡はオレの制止を無視して、むしろいっそう深く咥えてしまった。 「……ああっ…」 結局我慢できなくて、オレは聡の口の中にぶちまけてしまった。 「ごめん……」 反射的に謝ってしまったが、オレが出したものを飲み込んだ聡は、むしろうれしそうだった。 そんな聡の気持ちは、オレにもわからないでもない。 オレも佳暁様が自分のフェラチオで気持ちよくなってイッてくれたら、やっぱりうれしいと思うから。 きっと今の聡もそんなふうに、自分が好きな人が自分のフェラチオでイッてくれてうれしいと思っているのだと想像すると、聡のそういう気持ちに応えられなくて申し訳ないと思うのに、そのくせ聡にそんなふうに想われてうれしいと感じる気持ちもある。 こういうの、小悪魔っていうんだろうか。 そんな場違いなことを考えながらも、やっぱり申し訳なく思って、オレは聡に提案した。 「聡のも口でしようか?」 「いや、大丈夫だよ。  ……けど、してくれるつもりがあるなら、素股させてくれる方がうれしいかな」 「……ん、いいよ」 オレがうなずくと、聡は「じゃあ後ろからで」と言って、オレを四つん這いにさせた。 しっかりと閉じたオレの両足の間に大きく育ったものを押し込むと、聡はオレをしっかりと抱きしめてから動き出した。 聡の固く育ったもので足の間をこすられていると、微妙に感じるところを刺激されてしまって、オレの方もまた少し勃ってきてしまう。 オレを抱きしめている聡の息づかいが次第に荒くなっていくのも、 聡のものの先からにじみ出てきたもので足の間がぬるぬるしてくるのも、オレを興奮させる。 オレが勃てているのに気付いたのか、聡がオレのものに手を伸ばしてきた。 そのまま聡に擦られながら、オレは聡と同時に再び達してしまった。 立て続けに三度も達してしまったので、さすがにぐったりしてしまった。 聡が渡してくれたティッシュで汚れたところを拭くと、オレはずうずうしく聡のベッドで寝る体勢になった。 「オレも一緒に寝ていいか」 オレが占領しているのは元々聡のベッドなのに、聡はひどく遠慮がちにそう言ってきた。 聡も強引にせまったり下手に出たり忙しいなと思ったら何だかおかしくなってきて、オレは少し笑った。 「いいよ。  ……この前、聡に抱きしめてもらって寝た時、気持ちよかったし」 あまり期待をもたせるのもどうかと思いながら、聡が喜ぶとオレもなんとなくうれしいのでついそう言うと、案の状聡はうれしそうな顔で「そうか」と言って布団の中に入ってきた。 この前は後ろから抱きしめられたけれど、今日は向かい合わせで腕枕をしてもらい、ゆるく抱きしめられる。 この体勢は照れくさくはあったけれど、それでもやはり、こうして抱きしめられるのは暖かくて気持ちよかった。 「あのさ……聡は、オレのどこが好きなの?」 聡の胸に顔を埋めながら前から気になっていたことをぼそっと聞くと、「そうだな……」と考えるような声が降ってきた。 「やっぱり素直で一生懸命なところかな。  お前のそういうところが可愛いと思うよ。  けど……そうだな。  お前を好きな一番の理由は、お前が愛されたがっているということかな」 「ええ?」 オレが愛されたがっているって、どういうことだろうか? それは確かに佳暁様に愛してもらうことはうれしいけれど、自分ではそれよりも佳暁様を愛する気持ちの方が強いつもりなのだけれど。 「お前が俺たち二人に佳暁様に告白しないのかって聞いてきた時にな。  お前、自分なら、好きでもない人と寝ているよりは、相手が二人でもお互いに好きな人と愛し合いたいって、そう言っただろ。  それを聞いて俺は、ああ、こいつは自分もそういうふうに誰かに愛されたいんだなって、そう思ったんだよ。  前からお前のことは可愛いとは思っていたが、本格的に意識し出したのはその時からだったな」 「え……。  オレ、別にそういうつもりで言ったわけじゃないと思うけど……」 それとも自分では意識していなかったけれど、聡が言うように、自分も佳暁様のように誰かに愛されたいという気持ちがあったのだろうか? オレが密かに悩んでいると、聡はオレの背中をぽんぽんと軽く叩いてから言った。 「まあ、それはあくまで俺の印象だからな。  俺の願望が入っているから、本当にお前が感じていることとは少し違うかもしれない」 「そっか……」 聡はそう言ったけれど、オレは自分が愛されたいという欲求を持っているかもしれないということについて、ちゃんと考えた方がいいかもしれないと考えていた。 もしかしたらそれは、オレが実は抱くよりも抱かれる方が好きだったということに通じているかもしれない。 「まあ、実際、俺もあまり偉そうなことは言えないんだ。  もし本当にお前が愛されたがっていたとしても、俺はお前だけではなくて佳暁様のことも愛していて、そういう意味でお前だけを愛してやれるわけではないからな」 「んー、でも、それはそれでいいんじゃないかな。  今、聡のことが好きかどうかは考えられないけど、少なくともオレ、佳暁様のことを愛していない聡のことは、好きになれないと思う」 恋愛感情は別として、オレと聡、そして護の三人の間には、佳暁様を愛する者としての仲間意識のようなものがあると思う。 オレが聡と護を人間的に尊敬できると思うのも、二人が佳暁様を深く愛しているからだということもあるので、聡が佳暁様のことを愛さず、オレだけを愛するようなことになったら、聡のことを人間的にも好きになれなくなりそうな気がする。 「まあ、確かにそうかもしれないな。  たぶん俺も、お前が佳暁様のことを愛していなかったら、お前のことを好きにならなかった気がするよ」 そんなことを話しながら、いつの間にか聡の手は、オレの背中をゆっくりと撫で始めていた。 その優しい手つきからは、聡が本当にオレのことを好きでいてくれることが感じられる。 ――甘えてしまっても、いいのだろうか。 まだ少し迷いはあったけれど、オレは思い切ってさっきから考えていたことを口にする。 「あのさ……オレ、佳暁様がおっしゃる通りにしてみようかと思うんだ。  それで……聡の気持ちに応えてないのに、こういうこと頼むのは何なんだけど……その、聡も協力してくれる?」 協力してもらう内容については恥ずかしくて言えなかったけど、この前聡の方から協力出来ると言ってくれたこともあってか、聡は察してくれたようだった。 「ああ、もちろん」 そう言った聡の声は妙にうれしそうで、オレはやっぱり申し訳ないと思ってしまう。 「ごめんね……無理言って」 「いや、気にしなくていい。  この前言ったみたいに、俺としてもその方がありがたいんだ。  どういう理由であれ、お前を抱けることに変わりはないし、それにがんばってお前を満足させていたら、そのうちに好きになってもらえるかもしれないしな」 「え……?  あ、あのそれは、その……」 俺が困っていると、聡はちょっと笑った。 「まあ、それはおいおいな」 そう聡は言ってくれたけど、やっぱりいつまでもこのままにしておくわけにはいけないから、そっちも出来るだけ早く答えを出さなければいけない。 それでもやっぱり今日今すぐというわけにはいかなくて、思わずオレが小さくうなると、聡はなだめるようにまた背中を軽く叩いてくれた。 「いいから、今日はもう寝ておけ。  お前、こうやって抱きしめられて眠るのが好きなんだろ?」 「……うん」 聡にうながされて、オレはようやく目を閉じた。 聡の腕枕も、オレの背中に回された手も温かくて、気持ちよくて、いつの間にかオレは、すっと眠りに落ちていた。

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